2007 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産ガッラ・プラチディア廟モザイク壁画の保存修復調査と修復技法の実証的研究
Project/Area Number |
17402001
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
工藤 晴也 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 美術学部, 准教授 (90323758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 聡子 東京芸術大学, 美術学部, 教育研究助手 (40401468)
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Keywords | 年代測定 / 古環境 / 材質分析 / 制作技法 / 保存科学 / 文化財 / 国際研究者交流 / イタリア |
Research Abstract |
1、第一次調査7月15日〜7月26日では、(1)西翼ヴォールトにおける歴史的修復痕跡の調査と資料の作成を行なった。(2)1975〜76年に採取した南翼ルネッタのモザイク下地層モルタル断片を対象に構造分析、成分分析調査を行った。(3)ナポリ考古学博物館にて、ローマモザイク、ローマ市内にて初期キリスト教モザイクを視察し、美術史的観点からガッラ・プラチディア廟モザイクとの関連を調査した。(4)モルタル断片を日本に持ち帰り光学顕微鏡、EPMA、 XRD、 MDGによりモルタル組成と付着している顔料成分の分析調査を行なった。2、第二次調査11月17日〜11月25日では、(1)温湿度計のデータ収集を行なった。(2)モルタル分析結果に基づいて、歴史資料、文献との比較考察を行なった。(3)モルタル分析結果に基づいて、入手可能なモルタル原材料を収集した。(4)モザイクの模写制作準備(必要となる色彩調査、ズマルトの購入等)を行なった。(5)研究室でモルタル原材料の詳細な化学分析調査を行った。モルタル骨材として検出された砂がポー川流域で採取した川砂と形状、成分が極めて似ている調査結果を得た。第三次調査2月16日〜2月25日では、(1)イスタンブール市内に残る初期キリスト教モザイクと9〜13世紀に作られたビザンティンモザイクを視察。ハギア・ソフィア寺院モザイク(6世紀前半)の装飾文様について、ガッラ・プラチディア廟モザイクとの関連性を調査した。(2)歴史資料の調査によって、モザイク材料の加工技術と材質の共通性かち、イスタンブール(コンスタンチノープル)で生産されたモザイク材料や技術(入材を含む)がガッラ・プラチディア廟モザイク及び5〜6世紀に作られたラヴェンナの初期キリスト教モザイク群に大きな影響を与えていた点を検証した。
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Research Products
(1 results)