2006 Fiscal Year Annual Research Report
最先端知的財産権の法的エンフォースメント・メカニズムの学際的研究
Project/Area Number |
17402005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大渕 哲也 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (30322035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 誠 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (00186959)
井上 由里子 神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (60232568)
平嶋 竜太 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 助教授 (70302792)
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Keywords | 知的財産法 / 知的財産権 / エンフォースメント / 学際 / 先端科学技術 / 比較法研究 / 米国法 / 欧州法 |
Research Abstract |
昨年6月には、スペイン・バルセロナで開催された国際著作権協会(ALAI)の理事会と研究大会に、大渕が参加し、国際的な著作権法に関する理論と実務の双方に関する最先端の知見と情報を得ることができた。同年7月には、米国での知財法研究の中心の一つであるワシントン大学主催のシンポジウムに代表者大渕が参加して、特許権の効力に関する重要論点である消尽論につき、比較法的観点から報告を行うとともに、米国を中心とする国際的知的財産法の理論と実務の双方につき最先端の情報を得ることができた。同年8月には、シンガポールで開催されたIP Academy主催の国際知的財産法シンポジウムに参加して、知的財産法のエンフォースメントにおいて重要な役割を果たすIPADRと、デジタル化ネットワーク化環境下における著作権法の在り方という2つのテーマについて報告を行うとともに、米国・欧州・アジアの知的財産法関係者から最新の情報を収集することができた。 以上のような海外学術調査での貴重な成果を十分踏まえて、大渕において、「審決取消訴訟の審理範囲等」を公刊した。これは、本科研費の中心的研究テーマである、特許審決取消訴訟における審理範囲、特許無効審決取消訴訟とクレーム訂正という2つの重要論点につき、従前の研究成果を踏まえつつ、更に一歩踏み込んで掘り下げた意欲作であり、本科研費の研究の一つのクライマックスをなすものである。これ以外では、「特許訴訟・審判制度の現状と今後の課題」で、上記2つの論点と特許無効論以外にも、エンフォースメントの中核をなす審判・訴訟制度につき総合的な視野からの検討を加えている。「特許法上の特許無効」は、短いものではあるが、特許無効論について、行政法的観点から大胆な分析を加えた意欲作である。また、「著作権侵害による損害の賠償一知的財産法からのアプローチ」は、著作権と特許権の双方につき、本科研費での中核的論点である、損害賠償論につき、従前十分でなかった民法との対比を大胆に加えつつ徹底的な分析検討を行った意欲作である。また、「法的保護システムの面からみた著作権法の特色--特許法等との対比を軸として」は、特許権と著作権につき、エンフォースメントメカニズムと保護範囲論の双方の観点から大胆な比較を加えて両者の本質を浮き彫りにしようとするものである。 研究分担者平嶋は、「ソフトウェア関連発明と知的財産法」において、最先端分野の代表格であるソフトウェア関連発明における実効性のある知的財産保護のあり方について、法律と技術の両面から学際的な鋭い分析検討を加えている。
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