2007 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害を原因とする社会的不適応に関する日韓共同研究
Project/Area Number |
17402047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
落合 俊郎 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 教授 (00150053)
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Keywords | 発達障害 / 社会的不適応 / 不登校 / 社会的引きこもり / 虐待 |
Research Abstract |
本研究「軽度発達障害を原因とする社会的不適応に関する日韓共同研究」の趣旨に基づき、今年度は韓国における軽度発達障害のある児童生徒の社会的不適応に関する調査を行った。 I.研究の目的:1.学校不適応児童生徒の実態に対する教員の認識について;問題に関する教員の認知と児童生徒の不適応行動に対する教員の認知度について。2.学校不適応児童生徒の支援に対する教員の認識について;指導上の教員の困難度について、支援に関する教員のニーズについて調べた。 II.調査対象:特殊学校、特殊学級、青少年相談センターそれに治療室等の私的機関で、学校不適応児童生徒を指導している担当教員を対象として調査票送付による郵送法で行った。教員数は総計61人に対して行った。 III.調査結果:調査対象機関の児童生徒の類型は、非行が31.1%、発達障害のある児童生徒が34.8%、虐待が34.1%であった。また、社会的不適応を示す児童生徒に対する教員の意識は、第一に、学校不適応児童生徒の問題に対して、全ての教員が家庭環境において最も問題を感じていると回答し、次に学習、社会性、非行、行動において問題が見られると認識していた。重篤な問題であると教師が感ずる順位は、虐待、発達障害、非行の順番であった。第二に、学校不適応児童生徒の不適応行動に対する項目別の認知度については、有意差がなかったが、教員は虐待児の不適応行動を最も深刻に認識していた。第三に、教員が指導上で最も困難と感じているのは非行児童生徒であり、次に発達障害、虐待児の順であった。 IV.結論:特殊教育は障害児のための教育として実施されているが、学校不適応児童生徒が抱える課題に焦点を当てると、障害のある児童生徒だけでなく、家庭環境による様々な課題をもつ児童生徒に対しても、特殊教育的視点からの対応が必要であるという結論に達した。
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