2006 Fiscal Year Annual Research Report
チベット高原雷雲の構造的な単純さと観測しやすさを生かした雷前兆現象の解明
Project/Area Number |
17404003
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20273120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 伸之 岐阜大学, 工学部, 教授 (80179415)
渡邉 貞司 岐阜大学, 工学部, 教授 (20021595)
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Keywords | 雷 / 雷前兆現象 / 雷予知 / 雷雲の電気 / 落雷 |
Research Abstract |
昨年度の総合観測実験に続き、計画の通り本年度も観測実験を実施した。この2年間のデータを解析し、以下の結果が得られた。 1.チベット雷雲は夕方から深夜にかけて発生することが殆どである。雷活動は雷雲によって随分異なる。雷が多い雷雲では一分間20回以上の雷放電が観測されており、少ない雷雲では全放電数が数回程度にとどまる。 2.昨年度観測できた雷雲の殆どは地上で主たる正極性電界を示したが、今年度観測できた雷雲の殆どが地上で主たる負極性の電界を示した。前者の場合、雷の9割以上が雲放電であり、落雷の数が極めて少ない。後者の場合、普通の夏季雷雲と同じ、落雷が2〜3割合を示す。普通の雷雲の下部に正極性のポケットチャージがあり、これが落雷を誘発するとされている。正極性電界を示すチベット雷雲の場合、このポケットチャージはむしろ主電荷領域であり、その下に落雷を誘発する逆極性のマイナスポケットチャージがない。これは正極性電界を示すチベット雷雲において落雷があまり発生しない原因と推測している。 3.雷の開始場所は明らかに高度が高い層と低い層に分かれており、それぞれの場合、その後の雷放電リーダが異なる特性を示す。最近、雷の開始に関して、負極性リーダが見かけ上最初に伸びると言われているが、今回の研究では始めて正極性リーダのものと負極性リーダのものと両方が存在することを突き止めた。 4.雷雲の発達段階によっては落雷の割合が随分異なり、落雷しやすい電荷構造が明らかに存在すると推測される。
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Research Products
(2 results)