Research Abstract |
1日本人母乳(60検体)に,天然由来ハロゲン化合物(ジメチルビピロール,メトキシジフェニルエーテル系など5種)が入為起源の臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)と同レベル(Br_4Cl_2-DBP:1.4ng/glipid,2'-MeO-BDE68:0.42ng/glipid)で残留していることを明らかにした。その起源は海産物の食事に由来すると推測された。パラオ産海綿動物40種のうち数種のMeOH抽出液から2,2'-dimethoxy-BDE68や2,2'-dimethoxy-BB80などが大量に検出され,ヒトに残留している臭素系ハロゲン化合物と一致した。このことから,MeO-BDEのヒト分布の起源は海綿(または共生する微生物)であることが示唆された。 2沖縄およびミクロネシア圏の魚介類から三臭素化ダイオキシン(Br_3DD)およびMeO-Br_3DDを検出した。また,MeO-BDEの三臭素化体数種がほとんどの魚介類に分布していることを明らかにし,それらはMeO-tetraBDEの分解により派生することが示唆された。 3香港,フィリピン(セブ島),フレンチポリネシア(タヒチ)およびモルジブから魚介類を収集し,人為起源(水銀,PCB)および天然臭素系ハロゲン成分の化学分析を行い,ほかの太平洋島嶼から得られる海産物の分析結果と比較した。メカジキを指標とした場合,3種天然ハロゲン化合物群(1,2'-pyrrole系,2,2'-bipyrrole系およびMeO-BDE系)はそれぞれ,オセアニア,日本近海,ミクロネシア圏へ偏って分布し,地域差が大きいことがわかった。
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