2006 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂発生防止のために行う植林の技術開発と評価に関する研究
Project/Area Number |
17405001
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉川 賢 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50166922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真木 太一 九州大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80314970)
山本 福寿 鳥取大学, 農学部, 教授 (60112322)
山中 典和 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (20202385)
大手 信人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10233199)
廣部 宗 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (20363575)
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Keywords | 防風林 / 砂漠化 / 白楡 / 活着率 / 立地条件 |
Research Abstract |
中国内蒙古自治区伊金霍洛旗の新街植林試験地(総面積約1km^2)の中に地盤高の異なる6つのプロットを設置し、新疆ポプラ、コマユミ、樟子松、白楡を2006年4月に植栽した。8月に活着状況を調べた。コマユミは65%以上の活着率を示した。一方、白楡の活着率は14%〜57%と、他の3樹種に比べて低くかった。地表面から地下水面までの距離が苗木の活着率に与える影響は確認できなかった。植栽した苗木のサイズの頻度分布のモードと活着率のピークとが一致せず、どの樹種ももう少し大きな苗木を用いた方が植林成績が良くなることが示唆された。 中国寧夏回族自治区銀川市の大泉植林試験地に100m×100mの植林調査区を19個設置した。表層土壌の風食が苗木の定着に与える影響を明らかにするため、9つの植林調査区に草方格処理を施した。それらの植林調査区に檸条、花棒、沙木寥、沙拐棗の4種の潅木を2005年冬と2006年春に植栽した。2006年5月と9月に苗木の活着率調査を行った。檸条、花棒、沙拐棗の5月の活着率は高かったが、檸条は雨季の後の9月になって活着率が大きく低下した。一方、沙拐棗は草方格処理の効果があって、活着率は9月になって上昇した。花棒は草方格を施して冬季に植栽すると高い活着率を示した。苗木の生存と微地形の関係を調べた結果、生存個体は地盤高の低い場所に集中していた。 モンゴル国トューブ県のフスタイ国立公園の砂丘地帯に、草原地帯と砂丘地帯の2つの異なった環境が植栽された苗木に与える影響を明らかにするために、30m×200mのプロットを草原と砂丘をまたぐように2ヶ所設置した。欧州アカマツ、白楡、オオムレスズメ、モウコアンズ、タチヤナギ、Amygdalus Pedunculata、Elaeagnus moorcroftiiの計7樹種を2006年4月に植栽した。植栽間隔は1.5m×2mとした。苗木の生死の判別を6月と9月に行った。白楡以外の樹種の活着率は20%以下と非常に低くかった。砂丘上に自生する白楡だけが植林樹種として利用可能であることが判明した。欧州アカマツは草原側にのみ、モウコアンズでは草原側よりも砂丘側で活着率が高かった。そのため、欧州アカマツの定着には下層の草本植物が必要であり、モウコアンズには草本植物が障害となることが示唆された。白楡はPlot1では砂丘側、Plot2では草原側の方がよく活着した。この理由の解明には今後の調査が必要である。
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