Research Abstract |
(1)日本列島のミズクサハムシ属の歴史生物地理 日本列島に現在生息する5種のミズクサハムシ属の系統地理構造を明らかにし,大陸からの移入・国内における分布変遷の歴史を推定して論文を公表した.また,東アジアの固有種の起源を明らかにするために,北米(カナダ)における本属のサンプリングを行い,ヨーロッパの固有種を研究協力者に依頼して入手し,北半球の本属の系統地理を推定した.その結果,本属は始新世にヨーロッパと北米+アジアの系統に分化し,その後,北米とアジアの間で繰り返し分岐したことが分かった.また,日本の2種の固有種のはそれぞれ別々の起源を持つことが明らかになり,従来の姉妹種説が覆された(論文準備中). (2)日本のハンミョウ類の起源 本年度は,フィリピンにおいて,DNA分析のためのサンプルを採集した. 東アジアの特徴的な種で,日本国内でも奄美・沖縄・九州以北の間で著しい分化の見られるナミハンミョウの起源については,これまでに得られたサンプルについて,ミトコンドリア・核遺伝子を用いた系統解析を行なった. (3)東アジアにおけるオサムシ亜族の種分化 東アジアにおけるオサムシ亜族の種分化を分子系統に明らかにするため,中国河南省・江西省における採集調査を行なった.その結果,タイリクオオオサムシ亜属,トゲオサムシ属の新たなサンプルを得ることができた.また,日本国内における,オオオサムシ亜属ヤマトオサムシの系統地理をミトコンドリア遺伝子を用いて明らかにし,論文を公表した.
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