2005 Fiscal Year Annual Research Report
クラカタウ諸島におけるハチ・アリ類の移住過程にかんする研究
Project/Area Number |
17405009
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山根 正氣 鹿児島大学, 理学部, 教授 (30145453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幾留 秀一 鹿児島女子短期大学, 教授 (30132525)
郷右近 勝夫 東北学院大学, 工学部, 助教授 (20265185)
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Keywords | クラカタウ諸島 / セベシ・セブク / アリ / 有剣ハチ類 / シロアリ / 移住 / 飛び石 / 平衡種数 |
Research Abstract |
2005年8月8-24日にインドネシアにおいて野外調査を実施した(クラカタウ諸島および周辺地域における調査は実質11日間)。インドネシア側からはボゴール動物博物館のDrs Rosichon Ubaidillah,ボゴールハーバリアムのDr.Tukirin Partomihardjo,シア・クアラ大学のMr.Syaukaniが参加した。 最初の4日間は,クラカタウへの生物移住にとって飛び石の役割をはたしているセベシ,セブク両島を,残りの7日間でクラカタウの4島を調査した。ファウナの調査は,アリでは主にコロニー採集,有剣ハチ類(ハナバチ・カリバチ)では海岸や森林内のギャップでの見つけ採り,寄生バチではスウィーピング,シロアリではトランセクト法によって実施した。 これまでに,アリ,有剣ハチ類,シロアリについては,クラカタウで得られたほぼ全ての標本のソーティングが完了した。アリは全体で38属74種が採集され,1982年の32属68種をわずかに上回った。平衡種数が達成されたかどうかの判断には継続調査が必要である。植生の変化にともなう種の入替りが確認された。放浪種をふくむ広域分布種は15種採集されたが,イエヒメアリ,ツヤオオズアリ,アカカミアリといった重要放浪種は見いだされなかった。 ハナバチは12属22種,カリバチは21属34種で,1982年にくらべて種数はむしろ減少した。これは,植生遷移の進行によって,オープンサイトの面積が減少し,ハチ類の生息場所が減少したためと考えられる。しかし,調査時期が乾期であったため,雨期における追加調査が必要である。アリ,ハチをつうじて,コロニー増殖を巣分かれのみで行う種は確認されなかった。 シロアリはトランセクト調査を重視しマニュアル採集をほとんど行わなかったため,若干の採りこぼしがあると思われる。4島合わせて5属14種が採集され,その内6種がクラカタウ初記録であった。 現在,島間のファウナの類似度,セベシ・セブクのファウナとの比較など詳細な分析を進めている。
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