2007 Fiscal Year Annual Research Report
フタバガキ科植物集団の進化と種内変異:生態遺伝学的調査と解析
Project/Area Number |
17405016
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山崎 常行 Fukuoka Women's University, 人間環境学部, 学術研究員 (10108649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 修 福岡女子大学, 人間環境学部, 教授 (50094777)
美濃部 純子 福岡女子大学, 人間環境学部, 助手 (80190718)
吉田 彰 (財)進化生物学研究所, 主任研究員 (70090933)
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Keywords | フタバガキ / オヒルギ / 遺伝的多様性 / 集団遺伝学 / 集団構造 / 分子系統樹 / 熱帯林 / 保全 |
Research Abstract |
本年度は研究代表者山崎と研究分担者吉田の2名で1月31日から2月16日までオーストラリアのシドニー、バリナ、およびケアンズ地域のマングローブ林の生態学的調査とオヒルギの採集を行った。上記両集団で合計85個体の採集を行うことが出来た。3月3日から3月12日まで山崎はマレーシアサラワクのクチン市近郊のマングローブ林とマレー半島西にあるランカウイー当島のマングローブ林を調査し、それぞれ50、25個体のサンプルを採集した。なお、上記調査採集旅行の際に山崎はシドニー在住の集団遺伝学者、フランクハム博士と保全遺伝学の討論を、またサラワクのリー博士とは森林の保全状態についての意見交換を行った。 実験面では、昨年までに採集してあった中国雲南省のフタバガキとインド西ガーツ地方のフタバガキの遺伝子解析はほぼ終了し、これまでに終了していた東南アジアのフタバガキのデーターとともに、フタバガキ科107種を含む分子系統樹を完成した。この結果、南アメリカとアフリカの少数のフタバガキを除くほとんどすべてのフタバガキ科植物種を含む包括的な分子系統樹を作ることが出来た。また、マングローブの一種オヒルギの遺伝構造の解析では新たにインド東部と西部の集団を解析した。この2集団のどれにも遺伝的多様性は存在せず、分集団ないでは完全に遺伝的に均一であった。しかしながら両集団には大きな遺伝的な違いが存在した。これまでに得られた太平洋岸の結果と合わせて考えると、オヒルギ集団は太平洋、インド洋、アラビア海の三つの分集団に分けられ、各分集団内には変異はほとんど在しないが、遺伝的変異の大部分は集団が分化することにより集団間の違いとして存在することがわかった。これらの結果は国際雑誌に投稿準備中である。
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