2008 Fiscal Year Annual Research Report
フタバガキ科植物集団の進化と種内変異:生態遺伝学的調査と解析
Project/Area Number |
17405016
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
山崎 常行 Fukuoka Women's University, 人間環境学部, 学術研究員 (10108649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 修 福岡女子大学, 人間環境学部, 教授 (50094777)
美濃部 純子 福岡女子大学, 人間環境学部, 助手 (80190718)
吉田 彰 (財)進化生物学研究所, 主任研究員 (70090933)
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Keywords | フタバガキ / 熱帯雨林 / 集団遺伝学 / オヒルギ / 生物進化 |
Research Abstract |
本年度は研究補助金の最終年度であるので自然集団の調査採集は行わず、昨年までに採集しておいたマダガスカル、インド、マレーシア、タイ、インドネシア、オーストラリア、沖縄のマングローブ(Bruguiera gymnorhiza)を解析することに専念した。対象遺伝子座として核遺伝子(GapCp)、葉緑体遺伝子(trnL-F)各-遺伝子座、合計2遺伝子を選び、遺伝子配列を決定し、分集団内、分集団間の遺伝的多様性を推定し、分子レベルでオヒルギの遺伝的構造を解析した。その結果、分集団内にはほとんど遺伝的変異は存在せず、その95%以上は集団間の分化として保持されていることが分かった。このことはマングローブ集団が海流と地球の温暖化、寒冷化等に強く影響され、現在の集団は少数の個体から進化学的には極めて短い世代のうちに出来上がったものであるということが推測される。このような遺伝的構造の存在ははマングローブ樹木集団の遺伝的保全変異の保全法を確立する際にきわめて重要な発見である。これらの結果はConservation Geneticsに発表した。 また、インド西ガーツ地方と中国雲南省に生息するフタバガキ科植物の分子系統樹作成,および種内変異に関する研究は我々がこれまでに調べてきたデーターと比較することによって、フタバガキの進化という観点から現在論文をまとめている段階である。論文として発表できるのはあと一年程度かかるのではないかと考えている。
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Research Products
(1 results)