2006 Fiscal Year Annual Research Report
環北太平洋要素種群,カジカ上科魚類の進化学的生態学的研究
Project/Area Number |
17405019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宗原 弘幸 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (80212249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 衛 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (80174572)
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (30273113)
早川 洋一 国際基督教大学, 教養学部, 研究員 (50384011)
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Keywords | カジカ / 交尾 / ペニス / 潜水調査 / ウラナスカ島 / アラスカ |
Research Abstract |
前年度末の3月に調査したシアトル、バンクーバー調査に引き続き、6月16日から7月1日まで2週間、実質10日間(ボート調査5日間、ビーチからの調査5日間)の潜水調査をアラスカのウラナスカ島で実施した。ボートをチャーターしての調査では、ベーリング海側4日間、太平洋側2日間、それぞれ延べ30ダイブ、15ダイブ行った。 その結果、5科23種400個体余りのカジカ上科魚類を採集した。最も多い種類は、日本にも分布するギスカジカ属のMyoxocephalus polyaconthocephalusであったが、出現水深は日本では大陸棚の中央以深であるが、アラスカではダイバーレンジの浅海底であった。こうした出現水深の違いはトクビレ科魚類でもみられ、水温の年較差が原因と推定された。 ベーリング海で採集したクチバシカジカは、本種の北限記録であった。前年度に採集した標本を含め北太平洋東側の標本と日本の三陸側で採集した標本との遺伝的な相違を分析している。 今回の調査で採集したオニカジカ属のEnophrys bisonは、ペニスを持たない種で、一方、本邦さんのEnophrys dicerausはペニスを持ち、交尾することもわかっている。この2種の生殖器官系の比較解剖学的研究を現在進めている。また、北米固有属のArtedius属においても交尾種と非交尾種が採集できたので、同様の解剖を進めている。 今回の調査で採集した種は、前年度の北米調査で採集された魚種と7種(共有率30%)が共通であった。また、北日本に出現する種と重複する種は3種(同13%)であった。このことから、カジカ上科魚類は、広域分布種が少なく、地域固有の魚種相を構成することが示唆された。
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Research Products
(7 results)