2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17405022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三上 章允 Kyoto University, 霊長類研究所, 教授 (40027503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 智 京都大学, 東京都神経科学総合研究所・微生物学・免疫学研究部門, 副参事研究員 (30195630)
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Keywords | テナガザル / 色覚 / 視物質 / 遺伝子 / 進化 / 霊長類 / 東南アジア |
Research Abstract |
狭鼻猿類の霊長類(旧世界ザル、類人猿、ヒト)は3種類の錐体視物質を持ち、その色覚は3色型である。3種類の視物質のうち中波長(M)と長波長(L)視物質の遺伝子はX染色体上にタンデムに配列し、核酸のレベルでは相同性が高い。このため、ヒトでは減数分裂時にしばしば不等交差や遺伝子変換などの遺伝子組換えが起こり、遺伝子の増加や欠損・ハイブリッドの遺伝子を生成する。本研究ではテナガザルのX染色体上の視物質遺伝子の多型を調べる計画である。平成19年度は、この目的遂行のためインドネシアにおける調査を行った。また、テナガザルで色覚異常個体が発見できた場合に比較となるデータを取得する目的で、色覚異常および正常個体の色覚の行動実験をインドネシアで飼育中のカニクイザルを用いて行った。まず、平成19年7月21-29日に三上がインドネシアを訪問しジャカルタの動物園でテナガザルからのサンプル採取を行った。また、カニクイザルでの行動実験を行った。カニクイザルの行動実験は三上が帰国後もインドネシア側研究協力者によって継続した。平成20年2月14-20日に三上が再度インドネシアを訪問し、行動実験のデータを取得するとともに次年度の研究打合せを行った。これと並行して日本に持ち帰ったDNAの遺伝子レベルの解析を行った。遺伝子解析はまだ予備的な段階であるが、現時点で吸収波長決定に寄与する遺伝子座位の変異、ハイブリッド遺伝子、視物質遺伝子の欠損など色覚異常の原因となる遺伝子配列は見つかっていない。
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