2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17405022
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
三上 章允 Chubu Gakuin University, 人間福祉学部, 教授 (40027503)
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Keywords | 霊長類 / 色覚 / 進化 / テナガザル / カニクイザル / 色盲 |
Research Abstract |
霊長類の色覚の進化を研究する目的で、東南アジアで飼育されているテナガザル157頭の視物質遺伝子を解析した。平成20年度までの研究で一通りの解析を行ったが、色覚異常の個体は見つからなかった。一方、一部の個体の遺伝子構造を詳細に検討した結果、吸収波長を決定するエクソン部分の変異がイントロン部分よりも少ないとうい予備データを得た。そこで、平成21年度はエクソン部分の変異をイントロン部分や他の中立遺伝子領域と比較する目的でこれまで集めた全サンプルについて追加の実験を行なった。その結果、吸収波長決定サイトを持つエクソン3に変異が少なく、視物質のアミノ酸配列の情報を持たないイントロン部分に変異の多いことが明らかになった。全サンプルの再解析の結果は平成21年7月におこなわれた第25回日本霊長類学会で発表するとともに、9月にインドネシアを訪問し、ボゴール大学の研究協力者と研究のとりまとめについて調整した。また、11月にタイを訪問し、チョラロンコン大学およびバンコク動物園の研究協力者と研究成果とりまとめの調整をおこなった。バンコクでは、解析結果の一部を3rd International Congress on the Future of Animal Research(第3回動物実験の将来についての国際会議)で発表した。この会議では、東南アジアの霊長類を研究するアジア、ヨーロッパ、アメリカの霊長類研究者が一堂に会し、霊長類研究についての情報交換をおこなった。さらに、論文執筆に向けての最終調整を2月にインドネシアでおこなった。本研究の結果は、テナガザルにおいては、エクソン3の変異は淘汰されている可能性を示した。この結果はまた、カニクイザル、チンパンジーにおいても視物質変異が淘汰されている可能性を示唆するものでもある。
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