2006 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種タマラオの生息教調査と城内保全に関する現地調査
Project/Area Number |
17405040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金井 幸雄 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (40015871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 正博 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助教授 (70183100)
中村 徹 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (60015881)
高橋 芳幸 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (70167485)
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Keywords | 絶滅危惧動物 / タラマオ / 野生動物 / 生存個体数 / 行動特性 |
Research Abstract |
タマラオ(Tamaraw)は、フィリピンのミンドロ島にのみ生息する小型の野生水牛(Bubalus mindorensis)で、2003年の国際自然保護連盟(IUCN)の報告では30〜200頭と推定され、絶滅危惧種に指定されている。本研究では、タマラオの大多数が生息するイグリット・バコ国立公園を主たる調査地として4年間にわたって実地観察による生息数調査を行い、タマラオ集団の生態と正確な個体数を推定することを目的とした。本年度の現地調査(乾期の終了期にあたる4月に実施)では、4,000haのタマラオ保護区内に設置した16箇所の観測拠点(前年度調査で整備)で朝夕2回5日間の全頭目視観察を行い、全個体数の推計および群構成・行動様式に関するデータを収集した。また、調査地内の飼料栄養量を推定するため、タマラオの食草サンプルおよび新鮮糞等を採取した。成果の概要は以下のとおりである。 1.タマラオの現存個体数 調査地全体で263頭のタマラオの生息が確認され、タマラオの現存個体数は依然として近絶滅種の範疇にあると推測される。また、成獣・若齢・当歳の構成比および成獣の性比に偏りが見られること等が明らかになった。 2.タマラオの群構成と行動様式 タマラオは一夫一妻もしくは一夫二妻の行動特性を持ち、一部の雄は単独で行動することの特徴が定量的に示された。 3.タマラオの食性および内部寄生虫の罹患状況 タマラオは調査地の主要な草種であるCogon、TalahibおよびThemedaを常食としていること、また糞便検査から、重篤ではないものの胞子虫類のコクシジウムおよび吸虫類の肝蛭の感染が診られること等が明らかになった。(上記1〜3の成果は、2007年10月開催予定の世界水牛学会で発表予定である)
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