2008 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種タマラオの生息教調査と城内保全に関する現地調査
Project/Area Number |
17405040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金井 幸雄 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40015871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 正博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (70183100)
中村 徹 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (60015881)
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Keywords | タマラオ / 絶滅危惧種 / 域内保全 / 国際研究者交流 / フィリピン |
Research Abstract |
フィリピンのミンドロ島のみに生息し、IUCNの近絶滅種(1A類)に指定されている野生水牛タマラオ(Bubalus mindorensis)の保全を目的として現地調査を行い、以下の成果を得た。 1.個体数変動及び行動特性の解明について平成20年度の観察データと過去2年問のデータから、(1)現存するタマラオは約250頭で依然として絶滅の危機にある、(2)当歳個体数から推定される繁殖率は高いが、弱齢個体数の増加が見られず、生存率が低い可能性がある、(3)タマラオの大部分はオス1頭に対してメス1〜3頭と数頭の子供からなる小さな群れを形成して行動し、一部のオスは離れオスとして行動すること等、タマラオの行動特性が初めて明らかになった。(論文投稿中) 2、野外採取糞によるタマラオ同定について現地で採取した動物糞からDNAを抽出し、タマラオ特異的プライマーを用いてシトクロムbDNAを増幅・分離する方法を確立し、野外で採取した糞からタマラオを同定することが可能になった。(論文投稿中) 3.糞中DNAによる現存タマラオ集団の遺伝的多様性の解析について上記2によりタマラオと同定された糞を用いて、ミトコンドリアD-loopのDNA配列を解読に成功した。その結果、タマラオには9種類のハロタイプが検出され、その多様度は近縁の家畜水牛と比較して特に低い値ではなかったが、塩基多様度は著しく低く、アフリカゾウなどの野生動物よりさらに低いことが判明した。(論文投稿準備中)
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