2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化管寄生原虫ブラストシスチスの疫学調査と遺伝子型分類の研究
Project/Area Number |
17406007
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉川 尚男 Nara Women's University, 理学部, 准教授 (50191557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 志良 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90313874)
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Keywords | ブラストシスチス / 疫学調査 / 腸管寄生 / 原生動物 / 遺伝子型 / 多様性 |
Research Abstract |
ブラストシスチスは消化管寄生性であることから、症例報告を主体とした病因論に関する報告が多数見られる。しかし、同様の症状を引き起こす可能性のある全ての他の原因を排除することは困難であり、ブラストシスチスの病原性に関して明確に証明した報告は見当たらない。さらに、健常者にも高率にブラストシスチスが検出されるという報告も多く、ブラストシスチス分離株間の遺伝的多様性が明かになるにつれて、ブラストシスチスの特定の遺伝子型が病原性を引き起こしている可能性が議論されはじめた。このような背景から、本研究課題を遂行した。しかし、我国における疫学調査では、過去の我々の調査によると、ブラストシスチスの感染率は、調査した4年間のデータでは1.3-3.5%程度と低いものであった。このように、遺伝子型の解析に必要な多数のブラストシスチス株の入手は我国では困難である。一方、諸外国におけるブラストシスチスの感染率は、発展途上国では高く、検査した半数以上の住民に検出される地域も報告されている。 本研究では、ブラストシスチスの遺伝的多型を解析するために、多数の分離株が得られやすいアジア諸国においてブラストシスチスの疫学調査と株分離を行なった。その結果、タイ国では2地域から合計47株、中国では5地域から合計270株、シンガポールでは1病院から9株の分離に成功した。これらの分離株の遺伝子型多型について解析したところ、中国からの分離株に我々が開発した7種類の遺伝子型(subtype1からsubtype7)を分類するプライマーでは増幅されない株が検出された。この株のSSUrRNA遺伝子の配列は、2007年に提唱されたsubtype1からsubtype9とは異なり、その系統的位置関係から新たな10番目の遺伝子型(subtype10)であると判断された。このように、ヒトからの分離株を多数調べたことで、新たな遺伝子型が検出されたことから、ブラストシスチスの疫学調査の重要性が再認識された。
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Research Products
(10 results)
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[Book] スタンダード微生物学2008
Author(s)
土肥義胤、山本容正、宇賀昭二
Total Pages
350-362
Publisher
文光堂
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より