2007 Fiscal Year Annual Research Report
感染赤血球表面に発現する新規マラリア原虫分子のマラリア重症化への関与
Project/Area Number |
17406009
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 本美 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20164072)
橘 真由美 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00301325)
大槻 均 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80403806)
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Keywords | 感染症 / 寄生虫 / 遺伝子多型 / 抗原変異 |
Research Abstract |
マラリアは世界中で年間2〜3億人の感染者、150万人の死者を出す重要な感染症である。熱帯熱マラリア原虫感染赤血球はヒト体内で脳血管内皮に接着し、重症化し死に至らしめる(脳マラリア)。ゆえに、感染赤血球表面に発現するマラリア原虫の接着分子はマラリアの病原性と密接に関係し、マラリア重症化を防御するワクチン標的であるが、脳マラリアを起こす原虫分子はいまだに明らかではない。本研究では、申請者らが同定した感染赤血球表面に局在する接着分子候補SURFINをコードすsurf分子について、熱帯熱マラリア原虫流行地株から得られる塩基配列情報を用いて、選択圧のかかっている部位、重症化への関与、抗原変異への寄与について、集団遺伝学的解析により検討することを目的とした。本年度は、3年間のデータを集めて検討を加えた結果、細胞外領域を多型の程度により領域化することができた。また、多型の程度にかかわらず、細胞外領域全域にわたり正の選択圧がかかっていることが、複数の中立性検定テストにより支持された。このことはSURF分子は宿主免疫さらされていることを示唆する。さらに、1988から1989にかけて同じ地区で採集したマラリア原虫集団のDNAを入手することができたため、surf分子について塩基配列を決定し、今回集めた原虫集団のものと比較検討した結果、15年以上にわたり各遺伝子座においてsurf分子のアレル頻度には変化がほとんど見られなかった。コントロールとしてワクチン候補分子であるMSP1のアレル頻度についても検討したところ、同様に頻度の変化が見られなかった。ゆえに、SURFもMSP1も中程度の流行地であるタイでは、アレル頻度が15年もの期間にわたり安定であることが示された。
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Research Products
(1 results)