2005 Fiscal Year Annual Research Report
世界規模で新興するロタウイルスの出現機構解明を目指したトルコでの分子疫学調査
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17406013
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
アハメド カムルディン 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (00398140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 治 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
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Keywords | rotavirus / epidemiology / serotype / reassortant / Turkey |
Research Abstract |
我々は新興ロタウイルス株のトルコにおける出現状況を明らかにするため、首都アンカラのガージ大学医学部附属病院とアンカラ病院の入院及び外来における5歳未満の急性下痢症患者319人より採取された便検体(319検体)について以下の検討を行った。A群ロタウイルス抗原ELISAにより、ロタウイルス陽性のものは128検体(40.1%)と高い頻度を示した。ロタウイルス陽性検体よりロタウイルス二本鎖RNAを抽出し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるelectropherotypeの同定と、VP7遺伝子のRT-PCRおよびダイレクトシーケンス法によるG-typeの同定を行った。32検体でelectropherotypeの解析が終了し、これらは5つの異なるelectropherotypeに分類された。G-typeに関して、G1.G2.G3.G4血清型特異的プライマーをもちいてRT-PCRを行い、93検体でその解析が終了し、G1が50検体(53.8%)と最も多く、次いでG non-typeableが36検体(37.1%)であり、G2(1検体1.1%)、G3(3検体3.2%)、G4(3検体3.2%)は少なかった。G non-typeableであった36検体より任意に8検体を選び、VP7遺伝子のシーケンスを解析したところ、そのうち6検体と多くはG9であり、残り2検体がG1であることが判明した。現在、世界規模でロタウイルスワクチンの導入が進められているが、ワクチンはG9をカバーしていない。トルコにおいてG9がG1に次ぐに到るまで広まりを見せており、今後その動向が注目される。またG1の一部のものはVP7遺伝子のG1プライマーとの結合部位に突然変異を来たし、従来のプライマーでGtypeの同定が困難になっていることが明らかにされた。このように、我々は世界的新興ロタウイルス株G9がトルコにおいても重要なものであり、同時にロタウイルは遺伝子変化により通常の解析法が無効になるなど常に進化を遂げていることを明らかにした。
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