2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける1-ブロモプロパン中枢神経毒性と量-反応関係に関する疫学的研究
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17406017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 学 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90252238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉腰 暁子 国立長寿医療センター, 治験管理室, 室長 (90236737)
八谷 寛 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30324437)
山本 直彦 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40220488)
山本 敏充 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (50260592)
市原 佐保子 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助手 (20378326)
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Keywords | 1-ブロモプロパン / オゾン破壊物質代替物 / 遺伝子多型 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / 神経伝導速度 / クレアチニンキナーゼ / 神経行動 / 共分散分析 |
Research Abstract |
中国の1-ブロモプロパン製造工場の女性曝露労働者82人と年齢をマッチングさせた非曝露女性労働者82人(ビール工場及び機械組立工場)の健康指標(下肢の神経伝導速度、神経行動検査、生化学的な指標)を対応のあるt検定により比較した。さらに、1-ブロモプロパン製造工場労働者のみを対象に、曝露濃度と遺伝子多型(GSTT1、GSTM1)を独立変数として、生体指標を従属変数とした共分散分析を行った。FCV、SCV、Benton、WBC、LY、CKの項目で曝露群の数値は非曝露群を下回り、Distal latency、TP、GOT、LDHの項目で上回った。また、曝露濃度とGSTT1とを独立変数とし、各生体指標を従属変数とする共分散分析では曝露濃度と遺伝子多型GSTT1との交互作用が、Left Foot及びRight Handで有意であった。その後の遺伝子型ごとの曝露濃度と生体指標との単回帰分析においては、有意な曝露濃度による影響は見られなかった。曝露濃度と遺伝子多型GSTM1とを独立変数とする共分散分析では、いずれの生体指標に関する分析においても交互作用は有意でなく、加法的modelが成立することが分かり、FCV、Digit span reverse、LDHの項目において曝露濃度が有意な影響を示していることが分かった。(FCV, Digit span reverseでは負の影響、LDHでは正の影響)曝露群ではDistal latency及びTPの増加とともにCKの著しい減少が見られる。特にCKの減少は先行する動物実験で明らかになっていたが、本研究によって人でも初めて確認された。SCVの著しい減少は、米国症例における、感覚神経障害と関連しているかもしれない。また、共分散分析により、曝露濃度と生体指標との有意な関係が明らかにされ、本研究は初めて、人における曝露量依存的な生体影響を明らかにした。
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Research Products
(6 results)