2005 Fiscal Year Annual Research Report
Rickets罹患に関わる生活様式・地理環境条件・遺伝学的諸因子の相互作用
Project/Area Number |
17406019
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00211433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 昌裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30292725)
大西 真由美 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60315687)
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Keywords | Rickets / モンゴル / VDR遺伝子多型 / 骨密度 / 超音波法 / ビタミンD / Swaddling / 地理環境条件 |
Research Abstract |
Ricketsは古代から記録されてきた病態であり、人類は、Vitamin D含有量の高い食品摂取、乳製品の摂取量の調節、適度な紫外線暴露など、様々な環境適応によって深刻な病態を回避してきた。しかし、近年の内陸地方での急速な都市化は、人類の適応のバランスをくずしている可能性がある。Rickets様骨変形病態の発現には、食品摂取、生活様式、日照などの地理環境条件のみならず、VDR遺伝子多型が、Ricketsの発症を調節する遺伝的な役割を担っているかもしれない。本研究の目的は、(1)「モンゴルの子どものRicketsの発症に、ライフスタイル、地理環境条件のリスクに加え、特定のVDR遺伝子多型が相乗作用をもたらしているかどうか」、(2)「モンゴルの都市化に伴う文化変容がRickets発症に影響をもたらしているかどうか」を明らかにし、さらに、(3)中国大陸内陸部でのRicketsの高罹患地域に関する基礎データを蓄積することにある。平成17年度は、モンゴルのRickets発症と伝統的な習慣であるswaddlingの関係、Rickets発症と学童期の骨特性との関係を分析し、さらに、モンゴルにおけるVDR遺伝子多型とRickets発症の関連性に関する基礎的検討、中国の疾病統計に関する基礎調査を行った。 ウランバートル市S地区においてricketsの罹患歴のある7-10才の子ども73名(case群)とない子ども70名(control群)において、過去のswaddling習慣、現在の脛骨皮質骨超音波伝播速度(TCSOS)、骨格変形を調べ、swaddling習慣とrickets発症およびTCSOSとの関連を分析した。Swaddlingの期間の平均は、case群(completely wrapped swaddling 3.6ヶ月、partially wrapped swaddling 4.7ヶ月)、control群(3.1ヶ月、4.4ヶ月)で両群に差はなかった(P=0.42、P=0.65)。case、control両群において、swaddling期間と年齢標準化TCSOSとの間に量反応関係は認められなかった。モンゴルにおけるswaddlingの習慣は、rickets発症に影響をもたらさないことが明らかになった。さらに、rickets歴があっても学童期に骨格変形が認められない子どもの脛骨皮質骨超音波伝播速度はricketsのない子どもと同水準であった。
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Research Products
(2 results)