2006 Fiscal Year Annual Research Report
Rickets罹患に関わる生活様式・地理環境条件・遺伝学的諸因子の相互作用
Project/Area Number |
17406019
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 桂子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (00211433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 真由美 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60315687)
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Keywords | Rickets / モンゴル / VDR遺伝子多型 / 骨密度 / 超音波法 / ビタミンD / 地理環境条件 / 症例対照研究 |
Research Abstract |
Ricketsは古代から記録されてきた病態であり、人類は、Vitamin D含有量の高い食品摂取、乳製品の摂取量の調節、適度な紫外線暴露など、様々な環境適応によって深刻な病態を回避してきた。しかし、近年の内陸地方での急速な都市化は、人類の適応のバランスをくずしている可能性がある。Rickets様骨変形病態の発現には、食品摂取、生活様式、日照などの地理環境条件のみならず、VDR遺伝子多型が、Ricketsの発症を調節する遺伝的な役割を担っているかもしれない。本研究の目的は、(1)「モンゴルの子どものRicketsの発症に、ライフスタイル、地理環境条件のリスクに加え、特定のVDR遺伝子多型が相乗作用をもたらしているかどうか」、(2)「モンゴルの都市化に伴う文化変容がRickets発症に影響をもたらしているかどうか」を明らかにし、さらに、(3)中国大陸内陸部でのRicketsの高罹患地域に関する基礎データを蓄積することにある。平成18年度は、モンゴルウランバートル首都圏、Ricketsコホートデータの解析を行い、VDR遺伝子多型とRickets発症の関係を分析した。さらに、モンゴルウランバートル首都圏におけるRickets治療における医薬品処方とコンプライアンスについて調査を行った。ビタミンD剤の摂取、摂取食品、日照暴露時間、居住環境条件、ならびに社会経済的水準と、Ricketsの経過について分析を行った。 ウランバートル市S地区においてricketsの罹患歴のある7-10才の子ども80名(症例群)とない子ども72名(対照群)において、VDR遺伝子型(BsmI,ApaI,TaqI)の分布を分析した結果、分布は、症例群、対照群において同様であった(症例群:bb80%,Bb18%,BB3%;aa47%,Aa38%,AA15%;tt3%,Tt17%,TT81%;対照群:bb86%,Bb13%,BB1%;aa38%,Aa46%,AA16%;ttl%,Tt13%,TT86%)。VDR遺伝子型によるTCSOS値の違いは、症例群、対照群ともに認められなかった。モンゴルにおけるricketsの高い罹患率は、VDR遺伝子多型との関連がないこと、小児期のbone propertyにVDR遺伝子多型の関連がないことを明らかにした。
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