2005 Fiscal Year Annual Research Report
エイズ遺児のケアに関するソーシャルネットワークと公的セクターの役割に関する研究
Project/Area Number |
17406021
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
徳永 瑞子 長崎大学, 医学部, 教授 (10363475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有吉 紅也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30311400)
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
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Keywords | HIV / AIDS / 遺児 / タンザニア / タイ / アフリカ中央共和国 / 偏見 / 養育 / 社会的支援 |
Research Abstract |
研究代表者の國井と分担研究者の門司は、エイズ遺児が増加するタンザニアのキロンベロ州とウランガ州にて、パイロット調査として医療従事者および村人に対し直接面接による詳細調査を行った。その結果、片親のみならず両親が死亡しているエイズ遺児が多く、経済的な困窮から学業を停止し労働を余儀なくされる、栄養を十分に摂取できない、偏見・差別、レイプを含む暴力を受けるケースが多かった。これを基に次年度の量的調査を計画する。研究分担者の有吉は、北タイランパン県ムアン郡のHIVに感染した親を持つ子供500名を対象に、子供とその養育者を取り巻く社会経済および(公的セクターを含む)支援状況に関する地域ベースの量的研究を行った。本年度は、それらの結果を整理・分析すると同時に、先の調査対象となった子供とその養育者の経年的変化について調査する目的でデータ収集を開始した。徳永は、資料分析等によりアフリカ中央共和国のエイズ遺児に関する全体像を調査した。中央アフリカ共和国のHIV感染率は2001年UNICEFの調査では15%で、エイズ遺児(15歳未満)は110,000名、7年後には130,000名に達すると推定されている。バンギ4区のHIV感染率は21%、エイズ孤児率は14%、郡部カルノのHIV感染率は22%、エイズ孤児率は10.6%で、郡部ではHIV感染率が高いにもかかわらず孤児率が低い。エイズ孤児を養育している世帯は、都市部で20.7%、郡部で18.0%である。孤児の健康状態については、マラリア・発熱が32.1%、寄生虫疾患17.3%、皮膚病2.6%、下痢2.6%の順で、孤児の一日の食事回数は197名の調査で、3回が17名、2回が100名、1回69名、時々11名で、80名は栄養摂取に問題があると思われる。2年目は、首都バンギの病院において、孤児の生活、就学、精神状態などについてケース研究を行う予定である。
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