2007 Fiscal Year Annual Research Report
Clifford代数を用いた画像処理・復元に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17500001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮腰 政明 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20125355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河口 万由香 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (30214620)
田中 章 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (20332471)
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Keywords | Clifford代数 / 四元数 / 離散信号処理 / 多次元信号 / 固有空間 / 対称群 |
Research Abstract |
離散的信号処理はユニタリ行列に関わる行列理論の一つである.本研究の目的は,従来の各種信号処理手法が依拠する行列理論が用いる係数体を複素数体やClifford代数体(四元数体等)を含めたものへ拡張する信号処理手法の構築の可能性の基礎的検討である.今年度は,既存の信号解析の主要な方法の(複素)フーリエ解析を対象にして詳細な検討を対称群との関連で行い,フーリエ変換の本質は,信号の時間(周波数)軸に関する(偶奇)対称性であり,これには,変換行列の四つの固有値(±1,±i)に対する固有空間(正射影行列)が関わることが知られているが,本研究では,固.有値の符号±は,信号の時間軸と周波数軸の対称(偶奇)成分の統合と分離に関連すること,四つの固有空間に対応した正射影行列は全て実数行列となることに加え,フーリエ変換と対称群の要素の置換行列の関係を新たに発見した.この観点から見ると,四元数は四つの実数の成分をもつことに対応して,四つの正射影実数行列を用いて,フーリエ変換と対称群との関係に基づく拡張への可能性を検討した.フーリエ解析の四元数やClifford代数体(高次複素数体)への拡張は,虚数単位を四元数単位ベクトルに置き換える形式的拡張である.また,これらの拡張はフーリエ変換の位数2の対称群の置換が深く関わっていることを明らかにした.このフーリエ解析の四元数やClifford代数体への拡張の手法は,問題となるユニタリ行列が位数2ではない場合,このままでは一般のユニタリ行列に適用できない.本研究では,すべての固有値が有限位数をもつユニタリ行列が本質的に関連する位数2とは限らない対称性を四元数やClifford代数体(高次複素数体)を用いて拡張するための理論的基礎を検討し,その拡張の方向性を見出した.得られた理論的な成果を電子情報通信学会論文誌に公表し,他の成果も同じく学会発表を行った.
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