Research Abstract |
アウェアネス情報にはいろいろな種類のものが考えられるが,本研究においては,「忙しさ」に着目する.忙しさは,他人に話しかけるなどのコミュニケーションを取りたいときに,実際にその行動を実行するか今しばらく待つかの判断の根拠となるアウェアネス情報である.本研究では,他者とのインタラクションの観点から,「他人もしくはシステムから割り込まれると困る度合い」と定義する. 人が他者の忙しさに気づくのは,他者のそのときの状況を見て気づく場合が代表的であると考えられるので,これまで,その瞬間の情報から人の忙しさを自動的に推定することを試みてきた.具体的には,キーボードの打鍵,マウス操作,ペンの使用と,会話を検出し,これらに基づいて忙しさを推定する手法を提案した.実際には,主観的な忙しさはどのくらいの仕事(タスク)を抱えているかにも影響される,と考え,本研究では,人が抱えているタスクを「〆切までの時間」と「そのタスクを行うために必要だと主観的に判断している見込み時間」の二つをパラメータとしてモデル化し,忙しさの推定精度を約10%向上させた. しかし,現実には,人は〆切のある多くのタスクを同時にもっている.上記の手法を現実に応用しようとすると,人のもつタスクすべてについて,〆切と主観的見込み時間を収集する必要があり,それらの複数のタスクの相互作用による影響も解明しなくてはならない.以上の研究を行うためのシステムとして,タスク/スケジュール管理システム「タイムラインナビ」を設計し,試作した. このほか,アウェアネス情報の応用として,音楽プレーヤシステム向けにアウェアネス情報の自動検出および楽曲選択/推薦手法の研究,および,周辺情報提示法への応用研究を行った.
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