Research Abstract |
本課題では,画像特徴を示す基底群により画像を分解するスパース信号分解を用いた画像処理の開発と応用を目的としている. 前年度の研究では,信号に対して基底群を,直交ウェーブレット基底の空間シフトにより生成していた.これらは,信号に依存せずに決まる基底群であり,必ずしも信号の特徴を反映する基底ではなかった.そこで,本年度は信号分解において,分解のスパース性を指標として,基底群を導出する手法について検討を行った. 基底群導出の基本を確立するために,本年度は1次元信号を対象として研究を行った.具体的な方法として,信号が内在する特徴を部分空間で表現し,その部分空間の選択についてスパース性に関するコスト関数を定義することで,信号を各部分空間に存在する部分信号へ分解する方法を提案した.応用として,複数の周期信号が混合された信号を対象に,信号特徴を周期性として捉え,特定の周期信号のみを含む部分空間を周期毎に定義することで,混合前の周期信号群を推定する方法を提案した.このアルゴリズムでは,周期部分空間の選択についてスパース性が定義され,信号をできるだけ少ない周期信号へ分解することができる.この信号分解法を混合音声に適用し,複数の音声を一つの混合信号から分離できることを確認した.また,基底群の設計に関して,信号がサポートする区間の違いに着目し,DFT基底と持続時間の短い信号の部分空間を定義し,それぞれの選択にスパース性を導入することで,音声からの突発性雑音除去を実現した, 今年度提案した部分空間の選択にスパース性を導入したスパース信号分解法は,さまざまなテクスチャ,構造を持つ画像信号の分解へ応用することで,より効率の良い信号表現を導出することが可能である.
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