2006 Fiscal Year Annual Research Report
没入型遠隔操縦システムによって抽出された人間の協調行動規範のロボットへの移植
Project/Area Number |
17500110
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
升谷 保博 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (80219328)
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Keywords | 知能ロボティクス / 認知科学 / モデル化 / 人工知能 |
Research Abstract |
本研究の目的は,複数の人間あるいはロボットが協同で作業をする中で,人間の振舞いを記録し,その記録から人間の行動規範を入出力構造として分析し,さらにそれを自律ロボットシステムの行動プログラムとして移植する手法を確立することである.対象とするロボットシステムと人間では,身体,センサ,アクチュエータ等が異なっているので,簡易な方法で高い臨場感が得られる没入型の遠隔操縦システムを構築し,それを介して人間を実環境で行動させる. 本年度は,昨年度に開発した小型移動ロボットの没入型遠隔操縦インタフェースを用いて,操縦者の行動規範のロボットへの移植の方法について研究した. 行動規範の抽出に用いるタスクとして,壁に囲まれた通路の周回走行を設定した.このタスクに対して操縦者の入出力構造をモデル化した.入力として3面のスクリーンそれぞれに映る床領域の比率(入力数3),出力としてジョイスティックの前後方向,左右方向,ひねり方向の倒し量の比率(出力数3)を取った.被験者の一連の行動を記録したデータセットをK-means法を用いてn個にクラスタリングする.各クラスタに属するデータセットに対して回帰分析を行い,アフィン写像の係数を求める.そして,SVM(Support Vector Machine)の手法を用いて,各クラスタの汎化能力が最大になるように領域を分離する平面を求めた.こうして得られた解析結果を用いて,複数の被験者のデータに対して,移動ロボットを自律走行させることに成功した.今後の課題は,被験者による規範の差異の分析や,抽出されたパラメータの解釈などである. 協調行動の規範について検討するためには,遠隔操縦システムがもう1組必要となる.プロジェクタとスクリーンを用いた提示装置は大掛かりになるので,計画を変更し,近年急激に価格の下った大型液晶ディスプレイを3台使ったシステムを構築中である.
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