Research Abstract |
申請者らは,ファジィ集合間の距離情報を推論の根拠として,距離型ファジィ推論法の基幹アルゴリズムをはじめ,数値的真理値と言語的真理値,一段ルールと多重多段ルール,直接空間と特性空間など多角度から,推論アルゴリズムをシリーズに提案しており,各々の特長について数理的に証明している。本研究プロジェクトでは,人間らしい推論の実現を目指す,距離型ファジィ推論法の理論体系を構築しており,昨年の成果に加えて本年度では下記の諸項を完成した。 1.人間は,1段多重ルールだけではなく,多段多重ルールを用いて,より高度な推論も行っている。昨年度の基本推論アルゴリズムを,さらに多段多重ルールに拡張した。基本的な考え方としては,ルールにおけるファジィ変数間の距離値を抵抗値と看做して,電気回路網理論に基づいて,離散値ファジィ変数を持つ多重多段ルールにも推論アルゴリズムを開発することが可能となった。 2.脳内の知識表現においては,視覚的図形情報が形象的で且つ情報量が多いので,記号情報だけではなく図形情報も非常に重要である。従って,図形による知識表現は推論によく使われている。より人間らしい推論を実現するために,図形をファジィ集合の拡張として,特徴空間と概念ベクトルの表現手法を導入することにより,距離型図形推論法を開発することができた。 3.知識の表現,知識の獲得,学習,推論を一括で議論することが望ましい。申請者らの先行研究では,距離概念と,分離規則を満たす推論法を利用することにより,試みとしてこれらの知的行動を統一するアルゴリズムを提案し,シミュレーションのレベルで有効性を示した。 以上の成果を集約したフリーウェア「Human Reasoning Engine」を開発し,日本知能情報ファジィ学会のホームページより配布する予定である。
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