2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析を用いた膵癌に関する発癌メカニズムの解明
Project/Area Number |
17500196
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 準 東京医科大学, 医学部, 助手 (80307321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 明彦 東京医科大学, 医学部, 助教授 (50207396)
粕谷 和彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (80307313)
永川 裕一 東京医科大学, 医学部, 助手 (20349484)
|
Keywords | 膵癌 / プロテオーム解析 / 二次元電気泳動 / 化学療法 / リン酸化 |
Research Abstract |
膵癌の切除率は向上しているものの,生命予後の改善は充分ではなく,化学療法を含めた集学的治療が必要である。また,膵癌における発癌並びに癌の増殖には様々なシグナル伝達経路が関与し,その経路は多種多様で複雑な相互作用により成り立っている。さらに症例により異なるシグナル因子が活性化しており,これらの作用機序を解明する上で相互作用を解析することが重要である。本研究では、膵癌の発癌および癌の増殖に強く関与し,近年,分子標的薬としても注目されているEGFRとその下流シグナルに着目し,シグナルネットワーク,相互作用機序をプロテオーム解析を用いて明らかにし,機序の解明および新たな分子標的因子の探究を目的とした。このため,ヒト膵癌細胞株を用いて,EGFR inhibitor(Erlotinib)の高感受性細胞株と低感受性細胞株よりリン酸化タンパクを抽出し,二次元電気泳動によるタンパク質プロファイリングパターンの違いを解析し,質量解析装置によるタンパク質の同定を行った。同時に,それら活性化タンパクの発現をウェスタンブロット法にて再確認し,それぞれの因子のinhibitorを用いて下流シグナルおよび細胞増殖への影響を測定した。その結果,EGFR inhibitor低感受性細胞株ではEGF刺激に関係せずPl3Kとその下流シグナルすてが活性化されており,高感受性細胞株と比較してEGFR inhibitor投与後の抑制効果は有意に少なかった。この低感受性細胞株にPl3K inhibitor(LY294002)投与した結果,高感受性細胞株にEGFR inhibitor投与した際と同様の細胞増殖抑制が認められた。以上の結果をもとに,現在,二次元電気泳動によるタンパク質のリン酸化パターンの解析をすすめており,EGFR以外のPl3K活性化因子を検索中である。今後は発癌ならびに癌の増殖におけるシグナル因子の相互作用機序,ならびにEGFR阻害剤に加えた個々の症例に適した新たな分子標的因子の確立を目指している。
|