2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動神経の成長円錐ガイダンス・軸索分岐・神経筋結合における包括的な制御機構の解析
Project/Area Number |
17500198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
東海林 亙 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (40250831)
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Keywords | 細胞移動 / 軸索ガイダンス / セマフォリン / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュには遺伝子重複によって2つのSema3A遺伝子が存在する。前年度ではそのうちの一方であるsema3a1が脊髄運動神経の軸索ガイダンスを制御するとともに過剰な軸索側鎖を抑制する働きのあることを明らかにしたが、今年度はこれに引き続いて、もう一方のsema3a2が、軸索を生じる以前の神経細胞体の細胞移動を制御し、体節と脊髄運動神経の空間的なマッチングを担っていることを明らかにした。ゼブラフィッシュの脊髄においてCaudal Primary Motoneuron(CaP)は最も早く発生し、その軸索は神経細胞直下の基底膜を突き破って最初に脊髄外へ伸展するパイオニア・ニューロンとなることから、必然的にこの細胞の位置が各分節レベルごとの運動神経の共通の出口(Exit point)を定めることにとなる。CaPにはSema3Aのレセプター・サブユニットであるNrp1が特異的に発現しており、脊髄に隣接する体節が分節構造をとる前の未熟な段階では前後軸に沿ってランダムに存在するが、体節の分節構造が形成されると前後方向への移動を開始し、体節のちょうど中央に規則正しく配列するようになる。このとき体節にはSema3a2が発現し、反発作用によってこの細胞運動を制御していることを明らかにした。体節は各分節レベルの体幹筋になるとともに椎骨に分化していく組織であり、運動神経は規則正しい出口から椎骨の間をくぐり抜けて同じレベルの体幹筋を支配する。Sema3a2/Nrp1にシグナルは、それぞれ別々に発生する神経系と中胚葉系の協調した発生を支えているといえる。
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Research Products
(2 results)