2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質視覚野のサイレント・シナプスと経験依存的な神経回路形成
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17500208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (10291907)
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Keywords | 視覚野 / サイレントシナプス / 感受性期 / 発達 / 暗室飼育 / ラット |
Research Abstract |
近年、シナプス後部にNMDA受容体しか持たない特殊なグルタミン酸作動性シナプスが発達期に様々な脳領域で見出されている。このシナプスは、シナプス後細胞が静止膜電位の状態では応答が生じないので、サイレントシナプスと呼ばれている。平成17年度に、視覚野の2/3層錐体細胞を対象として解析を行った結果、開眼前(生後12-14日齢)にサイレントシナプスの割合が最も高く、この時期に興奮性シナプス伝達の長期増強が顕著に誘発された。また、視覚反応可塑性の感受性期(生後21-30日齢)の2/3層では、約半数でサイレントシナプスと長期増強が観察されたが、成熟すると両者とも消失した。長期増強誘発とサイレントシナプスが、対応して変化したことから、長期増強はサイレントシナプスの機能化により生じることが示唆された。本年度は同様の解析を、視覚野4層興奮性細胞を対象として行った。開眼前の4層細胞では、2/3層錐体細胞と同様に、高い割合でサイレントシナプスが観察されたが、感受性期になるとその割合が、成熟動物のレベルまで低下した。長期増強も開眼前の時期にしかみられなかった。視覚野では、成熟するとその可塑性は低下するが、視覚体験を経ないまま成熟すると、高い可塑性が保持されることが知られている。生後直後からの暗室飼育により、視覚体験を経ずに成熟したラットの視覚野を用いて解析すると、2/3層細胞では、多くのサイレントシナプスが維持されていたが、4層細胞では、正常視覚環境下で飼育した成熟ラットと同様にサイレントシナプスは消失していた。以上の結果は、4層の活動依存的神経回路の発達は、主に自発発火に依存してみられ、2/3層は自発発火と視覚入力の両方に依存することを示唆しており、それぞれの発達段階において、サイレントシナプスの機能化は、神経活動に伴って神経回路が可塑的に調整される過程に関与していると考えられる。
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Research Products
(1 results)