2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500214
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中山 孝 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (90150060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 順雄 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (50159985)
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Keywords | 胚性幹細胞 / ES細胞 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / アストログリア / 分化 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
胚性幹細胞(ES細胞)から神経系細胞への逐次的分化誘導の解析 マウスでは受精卵から8細胞期までは分化の全能性を有し、一個の割球から完全な個体発生が起こる。さらに胚盤胞の内部細胞塊(Inner Cell Mass ; ICM)および着床後のエピブラスト段階の細胞においても、全ての細胞種に分化できる全能性を保持している。胚発生においてはエピブラストが外胚葉に分化し、その後神経幹細胞を経て神経系細胞としてニューロン、グリアに分化する。我々はICM由来であるマウスおよびサルES細胞をアストロサイトの条件培地中で浮遊培養し、Neural Stem Sphere(NSS)と名付けた細胞凝集体を形成させ、神経系細胞に分化誘導する方法を既に確立した。この分化誘導法による形成過程が、生体中の発生・分化過程とどのように対応しているか、マーカー遺伝子の発現変化を調べることで解析した。その結果、ES細胞のマーカー遺伝子(Oct-4,Nanog)の発現は、浮遊培養によって減少することを見出した。また分化の指標となる、エピブラストのマーカー遺伝子(FGF-5)発現は、培養1日目で上昇し2日目でピークとなりその後減少した。培養2日目からは神経外胚葉のマーカー遺伝子(Sox-1)が、また3日目からは神経幹細胞および神経前駆細胞のマーカー遺伝子(Nestin, Musashi-1)の発現が増加した。さらに培養6日目にはニューロンのマーカー遺伝子(NF-M, MAP2)の発現増加が認められた。これらの一連の神経系細胞への遺伝子発現変化に対し、中胚葉(GATA4)、内胚葉(brachyury)および表皮系外胚葉(Cytokerain-17)のマーカー遺伝子の発現は非常に低く増加しなかった。以上の結果から、NSSは生体内と同一の過程、即ちエピブラスト、神経外胚葉、神経幹細胞、神経前駆細胞を経て神経系細胞に逐次分化誘導されることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)