2007 Fiscal Year Annual Research Report
可視化エストロジェン感受性ニューロンを用いたエストロジェン多機能性の解明
Project/Area Number |
17500215
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
濱田 知宏 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (90312058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
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Keywords | エストロジェン / トランスジェニック / 性差 / 視索前野性的二型核 / 血圧調節 / 最後野 |
Research Abstract |
我々はこれまでにα型エストロジェン受容体遺伝子プロモーターO/B活性依存的にEGFPを発現するトランスジェニックラットの作出に成功し、エストロジェン応答神経細胞の可視化を現実のものとした。この動物では脳内の様々な部位でEGFPの発現が観察されるが、特に視索前野性的二型核を特異的に可視化できることが明らかとなった。 平成19年度は視索前野性的二型核ニューロンの投射先を検討する目的で、逆行性トレーサーを様々な神経核に微小注入したところ、視床下部腹内側核への投射が観察された。ほとんどの視索前野性的二型核ニューロンはEGFPを発現しているのにも関わらず、逆行性ラベルされたニューロンの約半数はEGFPを発現していなかった。また逆行性ラベルされるニューロンは、他の性的二型核ニューロンに比べ、細胞体が大きく、また多くの突起を有していた。これまで、GABA、カルビンディン、ソマトスタチンなどを発現することから、性的二型核ニューロンは介在ニューロンである可能性が示唆されてきたが、投射ニューロンも存在することが明らかとなり、今後の性的二型核の機能を検討する上で、重要な知見になると思われる。 またエストロジェンは血圧調節に関係し、その制御に性差があることが知られている。その作用部位の一つとして最後野と弧束核が考えられており、これらの部位のEGFP発現について検討を行った。両部位においてEGFP発現が観察され、特に最後野では雄に比べ雌の方でEGFP発現細胞数が多かった。またこのEGFP発現細胞数は成熟後のエストロジェン処置で変化が見られなかったため、性的二型核同様、周生期に性差が形成される可能性が示唆された。 これまでの研究成果によりエストロジェンの多機能性について様々な知見を得ることができ、またそのツールとして、我々の作出したトランスジェニックラットが有用であることが示された。
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