2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500216
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
洲鎌 秀永 日本医科大学, 医学部, 講師 (70302461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 款 東京都神経研究所, 病態脳, 副参事研究員 (50189502)
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Keywords | ストレス / 退行性神経変化 / マイクログリア / IL-18 / 副腎 |
Research Abstract |
この研究プロジェクトの目的は、血中のインターロイキン18(IL-18)が脳内免疫細胞であるマイクログリアにどのような影響を及ぼすかを調べる事である。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって副腎からIL-18が誘導されるという先の実験結果を基に、ストレスと血中IL-18レベルの関係を検討した。2時間の拘束ストレスにより、血中IL-18レベルは約2倍以上に上昇した。その発現ソースの同定を行った。副腎、脾臓、消化管を比較したところ、副腎のみにおいて、特異的に上昇を示した。又、副腎摘出マウスにストレスを負荷しても、血中のIL-18レベルは上昇しなかった。これらの結果より、(1)ストレスにより血中IL-18レベルは有意に上昇する、(2)ストレス時のIL-18発現ソースは副腎である、という事を明らかにした(Sugama et al.,2006)。次に、IL-18が脳内マイクログリアにどのような影響を及ぼすのかを検討した。イン・ビボ系で、ラットの腹腔内にIL-18を注入し、脳内のマイクログリア活性化を観察した。IL-18注入後6時間、脳内マイクログリアは形態的に活性化型に移行した。又、炎症性サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)、一酸化窒素合成酵素(iNOS)も有意にマイクログリアから発現していた。この結果は、マイクログリア培養細胞系でも確認している。その他、IL-18欠損マウスと野生型マウスにストレスを負荷し、脳内のマイクログリア活性化を検討した。野生型マウスにおいては、ストレスによりマイクログリアが形態的に活性化を示した。それに対し、IL-18欠損マウスにおいては、ストレス負荷にてもマイクログリアは活性化型への移行を示さなかった。以上の結果より、抹消血中のIL-18は脳内マイクログリア活性化を促進するものと示唆された。したがって、最初の結果を踏まえ、ストレスにより上昇するIL-18は、脳内マイクログリア活性化を介し、神経細胞何らかの影響を及ぼしていると考えられる。
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Research Products
(3 results)