2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500216
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
洲鎌 秀永 日本医科大学, 医学部, 講師 (70302461)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 欣 東京都神経研究所, 病態脳, 副参事研究員 (50189502)
|
Keywords | ストレス / マイクログリア / インターロイキン18 / 中枢神経 / 退行性神経疾患 / 炎症反応 |
Research Abstract |
本研究における主な目的は、ストレスによりマイクログリア活性化が起こるのか否かを検討することにあった。ストレスのマイクログリアへの影響は、1時間、2時間の拘束浸水ストレス、および2時間の拘束浸水ストレス後6時間において、それぞれ観察した。コントロール時には、マイクログリアは、細胞体が小さく、突起も細くて長い、いわゆる安静時形態を示した。1時間の拘束浸水ストレス負荷で、マイクログリア形態的活性化は、脳全体で確認された。特に、視床、視床下部、海馬、黒質、中脳水道周囲において顕著であった。形態的マイクログリア活性化は、2時間の拘束浸水ストレス負荷で更に増強された。視床下部、海馬、視床で、マイクログリア形態的活性化を測定した。興味深いことに、マイクログリア活性化は、第三脳質周囲(視床、視床下部)に強かった。それに対して、灰白質以外の部位では、その活性化が比較的少なかった。MHCII(OX-6)および貧食活動マーカー(ED1)に対しては陰性であった。ストレスによるマイクログリア数は、OX-42(CD11b)陽性のマイクログリアをカウントする。視床下部、海馬、視床において、マイクログリア数の増加が確認された。また、炎症性マーカーとして、IL-1b、IL-6、iNOSのmRNAレベルの測定においては、いずれの炎症性マーカーの変化は確認されなかった。次に、マイクログリア活性化因子として、インターロイキン18(IL-18)の関与を検討した。IL-18を腹腔内へ投与すると、海馬、視床、視床下部において、マイクログリア活性化を示した。実際、IL-18ノックアウト・マウスを用いた実験では、ストレスによって起こるマイクログリア活性化は、ワイルドタイプに比較して、著名に減少していた。以上の結果より、急性ストレスは、マイクログリアの形態的な活性化は起こすものの、炎症反応には及ぼないということが明らかになった。また、炎症性サイトカインであるIL-18の関与も示唆された。従って、ストレスそのものが神経損傷を伴うマイクログリア活性化を引き起こしてはおらず、直接的な退行性神経疾患の原因とは考えにくいという結論である。
|
Research Products
(5 results)