2007 Fiscal Year Annual Research Report
多量の粘液様基質の沈着を示す新たな小児グリオーマ腫瘍型の確立
Project/Area Number |
17500220
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 純子 Gunma University, 医学部, 准教授 (60208832)
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Keywords | グリオーマ / 小児 / 粘液様基質 / 臨床病理 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
多量の粘液様基質の沈着を示す神経上皮性腫瘍を10例抽出し,臨床病理学的に検討した。 年齢は1歳から16歳までの小児9例,さらに若年成人例として24歳の症例1例を含めた。10例中8例が9歳以下で,男女比は1:1であった。発生部位は,小脳に発生した1例を除いてすべてテント上部で,前頭葉と側頭葉に多い。既往にALLがある症例を3例含んでおり,このうち2例は頭部放射線照射が行われていた。 組織学的には,多量の粘液様基質を背景に腫瘍細胞は網状,集塊状の増殖パターンを示し,血管中心性に増殖する傾向が認められる。1例では腫瘍細胞が未熟な形態を示しており,神経細胞系マーカーが陽性でprimitive neuroectodermal tumor(PNET)に相当していた。PNETでこのようなmyxoid changeを示す症例は,検索した範囲では報告されていない。また,PNETの要素とともにアストロサイトへの分化が明らかな領域がみられる症例が1例あり,両者が混在するものが2例みられた。他の3例は細胞に退形成を伴い,増殖能も高値でhigh grade astrocytomaにしている。残りの3例はpilomyxoid astrocytoma1例と核異型が軽度で増殖能も低い星細胞腫様腫瘍1例と傍突起膠腫様腫瘍一例であった。 粘液様基質を伴うグリオーマは,悪性度が高いものが多く,PNETも粘液様基質の沈着を起こしうることが明らかとなった。また,glioblastomaの亜型とみなされる症例もあった。マーカー発現の上から,小型で突起のない分化の低い細胞はOlg2が陽性であることが多く,腫瘍性アストロサイトに類似している細胞にではGFAP陽性細胞の比率は低く,一部の腫瘍はvimentin陽性であった。また,EGFRやp53蛋白の過剰発現は見られなかった。 10例中ALLにて頭部放射線治療後に発症した症例が2例あり,放射線誘発腫瘍として生じる可能性が示唆された。組織学的にlow gradeと考えられる症例は2例みられたが,分類に迷う症例であった。
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Research Products
(1 results)