2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17500222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水口 雅 The University of Tokyo, 大学院・医学部・附属病院, 教授 (20209753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部・, 教授 (90127910)
伊藤 雅之 国立精神, 神経センター・神経研究所, 室長 (50243407)
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Keywords | 結節性硬化症 / 腫瘍 / 形成異常 / 皮質結節 / モデル動物 / 神経病理 |
Research Abstract |
結節性硬化症は、TSC1またはTSC2遣伝子のいずれかに生じた機能喪失変異が原因となって生じる常染色体優性遺伝疾患である。結節性硬化症では脳、皮膚、腎臓など多くの臓器に腫瘍と形成異常が生じる。このうち腫瘍(腎血管筋脂肪腫など)ではloss of heterozygosityがあり、その形成はtwo hit仮説により説明される。いっぽう形成異常(大脳皮質結節など)ではloss of heterozygosityはなく、その成立機序は不明である。 われわれは結節性硬化症の脳病変の形成機序を解明する目的で、モデル動物を利用した研究を続けてきた。本研究においては、TSC1/TSC2トランスヘテロ接合状態が形成異常の原因となる可能性について検証するため、2種類のモデルマウスを使った実験を行った、 自家作製したTSC1ノックアウトマウスおよびTSC2ノックアウトマウスを交配し、TSC1/TSC2が野生型/野生型、ヘテロ/野生型、野生型/ヘテロ、ヘテロ/ヘテロの4群の個体(各群につき5-13個体)を得た。1年齢で安楽死させ、脳を摘出しホルマリン固定後、パラフィン包埋切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジンならびにクリューバー・バレラ染色を行って、組織所見を観察した。 その結果、臨床的に上記4群の神経症状に差はなく、行動異常や痙攣発作はどの群にも見られなかった。また神経病理学的にも4群の脳組織所見に差はなく、形成異常(皮質結節)や腫瘍はいずれの群にも認められなかった。 以上の結果は当初の仮説に否定的なものである。本研究の結果からは、TSC1/TSC2トランスヘテロ接合状態が脳の形成異常(皮質結節の形成)をひきおこす可能性は低いものと推測される。
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Research Products
(4 results)