2005 Fiscal Year Annual Research Report
新たな脳虚血関連分子cyclin G1の発現制御とその機能解析
Project/Area Number |
17500236
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
前田 光代 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40122080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 寿美子 (桐生 寿美子) 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70311529)
木山 博資 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00192021)
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Keywords | cyclin G1 / p53 / 脳梗塞 / Fluoro-Jade B |
Research Abstract |
cyclin G1は1994年Okamotoらにより、発見されたp53 transactivated target geneでDNA damaging agentや虚血などに反応して発現が誘導される新しい遺伝子としてクローニングされた。神経系での機能についてはいまだ不明であるが、虚血脳での発現上昇が報告されており、その発現は神経細胞の生死に深く関与している可能性が考えられていた。そこで、我々は、種々の脳損傷モデル動物を作成し、cyclin G1の動態について、形態学的、分子生物学的に検討した。CG1蛋白は通常は神経細胞には殆ど存在しないが、スナネズミ脳虚血モデルでは海馬CA1で、虚血後、3日からの発現上昇がメッセンジャーレベル、蛋白レベルでも認められ、細胞質から核への局在の移動が生じた。同様にラット中大脳動脈結紮モデルでも梗塞巣内の損傷神経細胞に発現の上昇、細胞質から核への局在の変化が認められた。同様の変化は大脳皮質ナイフカットモデル、カイニン酸投与モデル、凍結脳損傷モデルなど種々の脳損傷モデルでも確認できた。CG1免疫反応陽性神経細胞はアポトーシスマーカーの一つであるTUNEL染色には完全には一致しなかったが、むしろ神経細胞変性マーカーであるFluoro-Jade B染色に多く陽性染色を示した。これらと同様の変化はp53ノックアウトマウスでも観察できた。ことから損傷神経細胞へのCG1の蓄積はp53非依存性であることがわかった。この内在性のCG1の細胞質から核への局在の移動は、大脳皮質神経細胞の培養細胞にN-methyl-D-aspartate (NMDA)を添加したときにも確認できた。これらのことから、損傷あるいは変性神経細胞におけるCG1の細胞質から核への局在の変化はp53非依存性に生じ、このCG1の核への局在は神経細胞の致死的変化を示すよいマーカーとなりうると考えられた。
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