2005 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成に及ぼすステロイドホルモンのnon-genomicな作用と作用機序
Project/Area Number |
17500241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
金子 律子 (大谷 律子) 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (00161183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 知之 財)東京都医学研究機構, 神経機能・分子治療研究部門, 研究員 (70270668)
渡辺 知保 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70220902)
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Keywords | 大脳皮質 / シナプス形成 / プロテオミクス解析 / 培養細胞 / エストロゲン / シナプシンI / APC蛋白質 / CaMキナーゼ |
Research Abstract |
中枢神経系の神経細胞が性ステロイドホルモンの影響を受けることは、周生期に起こる脳の性分化だけでなく、成体においてもメスラット海馬でのシナプス形成が性周期により変化することなどから知られている。また、ステロイドホルモンが神経細胞死を防ぐなどの報告も出されている。さらに最近では、中枢神経系でステロイドホルモンが合成されていることも明らかにされており、ステロイドホルモンの神経細胞への作用や作用機序解明が待たれている。本研究では、ステロイドホルモンがニューロンに及ぼす影響について、シナプス形成と、プロテオミクス法による蛋白合成全般の解析とで、明らかにしようとしている。 これまでに、周生期ラット(胎生16日)の大脳皮質をエスラジオール(E2)添加または非添加で短期間及び長期に培養し、それらの細胞から蛋白質を抽出後、シナプシンIの免疫染色やwestern解析やプロテオミクス解析を行った。まず、MAPキナーゼ3種類(ERK、JNK、p38)について検討したところ、短時間(1時間)E2添加により、JNKやp38は変化しないが、ERKの活性型は増加することが明らかとなった。また、シナプシンIは、E2により細胞内局在が変化することが明らかとなった。シナプシンI遺伝子導入をベクターを用いて試みているが、発現を調節できないため、シナプシンIの局在変化を詳細に検討することが困難で、試行錯誤している段階である。 一方、細胞内で多岐にわたる機能を果たしているAPC蛋白質について解析したところ、APC蛋白質の局在や蛋白量に変動が見られた。神経細胞ではE2によりAPC蛋白質とPSD95蛋白質(シナプス後膜要素)との共発現部位が増加し、シナプス形成が活発化していることを示唆するデータが得られた。しかしながら、グリア細胞では、逆にAPC蛋白質発現面積は減少する傾向が見られた。このことは、E2によるAPC蛋白質の影響は、神経細胞とグリア細胞では著しく異なっていることを示しており、現在、更に詳細に検討を行っている。また、プロテオミクス解析により、多くの蛋白スポットがE2により増減したため、現在、質量分析により、蛋白同定を行っている。
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Research Products
(6 results)