2007 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス形成に及ぼすステロイドホルモンのnon-genomicな作用と作用機序
Project/Area Number |
17500241
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
金子 律子 (大谷 律子) Toyo University, 生命科学部, 教授 (00161183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 知之 財)東京都医学研究機構, 神経機能・分子治療研究部門, 研究員 (70270668)
渡辺 知保 東京大学, 医学系研究科, 教授 (70220902)
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Keywords | 細胞・組織 / 神経科学 / プロテオーム / シグナル伝達 / 女性ホルモン |
Research Abstract |
本研究では、ステロイドホルモンがシナプス形成に及ぼす作用と作用機序についてラットの大脳皮質及び視床下部の培養細胞を用いて調べることを目的として研究を進め、以下の結果を得た。(1)女性ホルモン(エストラジオール、E2)、女性ホルモン用内分泌撹乱物質(ビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノール(NP))とも視床下部培養神経細胞のシナプシンIの細胞内局在を変化させた。(2)western解析およびrealtime PCR法によるシナプシンI蛋白質およびmRNA発現はE2により増加せず、リン酸化シナプシンIはリン酸化部位特異的変化を示した。さらに転写・翻訳阻害剤はシナプシンIの局在変化に影響をしなかった。エストロゲン受容体の拮抗薬によりシナプシンIの局在変化は有意には抑えられなかった。さらにE2-BSA添加実験でも局在変化が再現された。以上より、局在変化は膜上受容体を介する作用であると考えられた。また阻害剤実験より、これまで明らかにしたERKの他にCaMKIIの関与が強く示唆された。(3)2D-DIGE法および質量分析を行い、E2により視床下部細胞でのみ発現が増加する蛋白質スポット(大脳皮質細胞では発現量が変化しない蛋白質スポット)を同定することができた。これらは、(1)Heat Shock proteinの仲間、(2)細胞骨格蛋白質、(3)軸索伸張に関する蛋白質、(4)抗酸化作用に関わる蛋白質等であった。(4)の1つの蛋白質は、E2によりこの蛋白質の修飾も増加することが明らかになったため、修飾の種類や部位を質量分析により現在更に詳しく調べている。E2の作用に関するCaMKIIなどのキナーゼの上流に位置する細胞内シグナル伝達系蛋白質は今回は同定できず、今後の課題として残った。
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Research Products
(5 results)