2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳内アミロイド分解代謝低下によるアルツハイマー病モデルマウスの作成と機能解析
Project/Area Number |
17500244
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黄 樹明 独立行政法人理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 研究員 (10344053)
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Keywords | Alzheimer's disease / Amyloid / APP / LTP / Neprylysin |
Research Abstract |
本研究は、生理学的アプローチで機能の角度から、脳内Aβ分解代謝の低下がアルツハイマー病の原因になる可能性を明らかにした。 実験結果 1、電気生理学実験、4ヶ月齢のノーマルマウス、Neprilysinノックアウトマウス、APP-tgマウス、Neprilysinノックアウト/APP-tgマウスなど4組のマウスを使って海馬CA1及びDGのシナプス伝達機能を測定した。CA1とDGとの二カ所のシナプスともシナプス基本伝達機能には変化は認めなかったが、記憶の基礎であるシナプス伝達長期増強の障害がAPPトランスジェニックマウス及びNeprilysinノックアウト/APPトランスジェニックマウスに於いて確認できた。特にNeprilysinノックアウト/APPトランスジェニックマウスの海馬シナプス長期増強がシングルAPPトランスジェニックマウスより有義に抑制されることが認められた。2、さらに、Western blotting法で動物脳内Aβを定量した。Neprilysinノックアウト/APPトランスジェニックマウス脳内可溶性AβオリゴマーレベルはシングルAPPトランスジェニックマウスより3倍近く上昇した。 まとめ 1、代謝低下による脳内Aβレベルの上昇はアルツハイマー病の発病に貢献する。2、不溶性大分子のAβ plaqueより可溶性Aβ複合体の方が早い段階に於いて脳シナプスに機能障害をもたらす。3、ネプリライシンの活性をあげることによって脳内Aβを除去し、アルツハイマー病の予防と治療をする可能性が示唆される。4、本研究で樹立した動物モデルのAPP-tg/NEP-KOマウスは従来のシングルAPP-tgマウスに比較して、他のAPP分解産物の変化なしにAβのみ増加する。脳内Aβ蓄積の病理及び病態生理の研究に合理的な動物モデルである。
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