Research Abstract |
シナプス後部にmRNAが存在し,局所翻訳されてシナプス後部タンパク質となるものについて複数の完全長遺伝子をクローニングし,全長タンパク質を生成して,構造および物理化学的性質や生理機能を明らかにするプロジェクトである。 今年度は,申請者らが発見した複数の上記関連遺伝子のうち, 1)synUSP(シナプス局在性脱ユビキチン酵素)および,LRP4(LDL receptor-related protein 4)について遺伝子ノックアウトマウス作成を行った。現在,synUSPについてはターゲッティングベクターをほぼ作成している。LRP4についても,ターゲッティングベクター完成間近である。 2)また,LRP4タンパクの性質について,cross-reactionの問題を抱えていた抗体について解決するために,新規の抗体を2種(細胞外のリガンド結合領域に対する抗体,およびC末の細胞内領域に対する抗体)を作成し,LRP4の内在性タンパク質の同定,細胞内局在,神経細胞における発現の経時分布等について,従来の研究で不明確であった部分を解決した(Euro.J.Neurosci.Accepted for publication)。 3)また,リガンド結合ドメインに対する抗体を用いて,培養神経細胞の生存や分化誘導に対するLRP4の役割について解析を行った(未発表データ)。細胞外のリガンド結合ドメインに対する抗体はシナプスの維持を障害する作用があることが明らかになった。現在も,そのメカニズムについてさらに研究を継続している。 4)さらに,シナプス後部に局在するmRNA種全体をGenechipにて解析して,そこに局在するmRNA種について明らかにした。特にPSD画分に高度に,ないし特異的に濃縮された状態で発現分布している遺伝子について明らかにした。また,PSD画分不随mRNAからcDNA libraryを作成した(論文投稿中)。
|