2005 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類ES細胞から分化誘導した神経幹細胞の自己複製・神経分化制御機構の解明
Project/Area Number |
17500256
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井上 順雄 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (50159985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 孝 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90150060)
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Keywords | 胚性幹細胞 / ES細胞 / 神経分化 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / アストログリア細胞 |
Research Abstract |
1.NSS法による、カニクイザルES細胞から神経細胞への一方向的分化 我々が新たに確立した、ES細胞から神経細胞への分化誘導法に従って、サルES細胞のコロニーをアストロサイト条件培地(ACM)中で浮遊培養し、形成したNeural Stem Sphere NSSからmRNAを調製し、培養に伴うマーカー遺伝子発現量の変化を解析した。その結果、ES細胞のマーカー遺伝子であるOct-4およびNanogの発現量は培養によって減少した。一方、神経幹細胞、神経前駆細胞のマーカー遺伝子であるNestinおよびMusashi-1の発現量は、培養5日目までは低値であったが、その後、増加した。さらに、これらに遅れて、神経細胞のマーカー遺伝子であるNF-MおよびMAP2の発現量が増加した。しかし、それぞれ中胚葉、初期内胚葉、表皮系外胚葉、アストロサイト、オリゴデンドロサイトのマーカー遺伝子であるbrachyury、GATA4、Cytokeratin-17、GFAP、MBPの発現量は非常に低値であり、増加しなかった。これらのサルES細胞の結果は、変化の時間経過はマウスES細胞よりも遅延するが、基本的にマウスES細胞と同様であった。すなわち、NSS法により、サルおよびマウスES細胞がエピブラスト、神経外胚葉、神経幹細胞、神経前駆細胞を経て神経細胞へ一方向的に分化することを明らかにした。 2.ヒトES細胞を使用する研究 我々の「ヒトES細胞由来の神経系細胞を用いた再生医療のための基礎的研究」は、学内の倫理審査委員会によって承認された後に、平成17年12月16日に文部科学大臣の確認を受けた。すでに、樹立機関である京都大学再生医科学研究所から3系統のヒトES細胞の分配を受け、培養を開始した。
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