2005 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬物による精神依存形成に関与する脳内グリア細胞の役割
Project/Area Number |
17500264
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (40318613)
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Keywords | アストロサイト / Protein kinase C / 精神依存 / グルタミン酸受容体 / メタンフェタミン / 中脳辺縁ドパミン神経 / 細胞内Ca^<2+>応答 / Glial fibrially acidic protein |
Research Abstract |
本研究では、依存性薬物によって誘発される中枢神経系の神経可塑的変化に対するアストロサイトの関与について検討を行った。大脳皮質由来初代培養アストロサイトに覚せい剤であるメタンフェタミンを処置したところ、アストロサイトの特異的タンパク質であるglial fibrially acidic protein(GFAP)様免疫活性の増強および樹状突起の増加を特徴とするアストロサイトの活性化が認められた。また、メタンフェタミン処置によるアストロサイトの活性化は選択的protein kinase(PKC)阻害薬の処置によって抑制された。さらに、メタンフェタミンを処置したアストロサイトにおいて、ドパミンやグルタミン酸により誘発される細胞内Ca^<2+>応答の増強が認められた。これらの結果より、メタンフェタミンはドパミンやグルタミン酸に対する感受性の増強を伴ったアストロサイトの活性化を惹起することが明らかとなった。一方、大脳皮質由来神経・グリア共培養細胞にメタンフェタミンを処置したところ、神経・グリア共培養細胞においてもPKCの活性化に伴ったアストロサイトの著しい形態変化が認められた。また、この反応は N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体NR2Bサブユニットの括抗薬、α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionic acid(AMPA)受容体拮抗薬ならびにグループI代謝型グルタミン酸受容体拮抗薬を処置することにより抑制された。さらには、メタンフェタミン誘発報酬効果が認められたマウスの帯状回および側坐核においてアストロサイトの著しい活性化が認められた。また、メタンフェタミンによる報酬効果の形成は、各種グルタミン酸受容体拮抗薬の処置により抑制された。以上の結果から、メタンフェタミンは神経およびアストロサイト内のPKCの活性化を引き起こし、神経-アストロサイト間でのグルタミン酸を介した情報伝達を亢進させることが明らかとなり、こうした反応がメタンフェタミンによる報酬効果の形成に少なくとも一部関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)