2005 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病要因を有するアルツハイマー病動物モデルに関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
17500266
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 克典 福岡大学, 薬学部, 助教授 (10183196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 道弘 福岡大学, 薬学部, 教授 (10091331)
三島 健一 福岡大学, 薬学部, 助手 (00320309)
江頭 伸昭 福岡大学, 薬学部, 助手 (80352269)
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Keywords | アルツハイマー病 / 脳循環障害 / インスリン抵抗性糖尿病 / β-アミロイド / ガングリオシド |
Research Abstract |
高齢化社会におけるアルツハイマー病の発症は、脳梗塞や糖尿病などの生活習慣病を背景として発症することが多いのが現状である。本研究では生活習慣病の要因がアルツハイマー病の発症あるいは認知症の進行に加速的影響を与えていると想定し、まず第一に行動薬理学的検討を行った。 (1)脳血管障害とβ-アミロイド(Aβ)毒性の検討:老人斑の構成成分であるAβはその立体構造により神経毒性が異なることが考えられたので、一過性の脳虚血を施したラットを用い、8方向放射状迷路課題において、オリゴマー体Aβと凝集体Aβの空間記憶障害誘発作用を比較した。両構造のAβをそれぞれ7日間ラットの脳室内に連続微量注入したところ、両構造共に空間記憶障害が発現したが、オリゴマー体Aβの方が障害の程度が大きかった。しかし、凝集体Aβの微量注入では、海馬にアポトーシスを発現し、その障害は比較的長く続くことが分かった。これに対してACh-E阻害剤であるドネペジルはオリゴマー体Aβによる空間記憶障害は有意に改善したが凝集体Aβによるそれにはほとんど効果がなかった。一方、Caチャネル阻害剤のニルバジピンはオリゴマー体Aβによる障害は改善しなかったが、凝集体Aβによるアポトーシスならびに空間記憶障害を改善した。 (2)インスリン抵抗性糖尿病とアルツハイマー病の検討:マウスにストレプトゾトシンを少量投与して高脂肪食で長期間飼育すると、インスリン抵抗性糖尿病の症状を呈した。このマウスの脳室内にオリゴマー体Aβを連続注入すると、それぞれ単独よりも強い空間記憶障害が発現することを見いだした。 現在は、変異型アミロイド前駆体蛋白(APP)を過剰発現する遺伝子改変マウスに脳虚血あるいは高脂肪食を負荷したモデル、ガングリオシドGM3の合成酵素であるSAT-1を過剰発現してインスリン抵抗性を呈するマウスを用いて同様の研究を進行中である。
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