2006 Fiscal Year Annual Research Report
指向運動における脳幹核上性ニューロンの機能解析-外乱に対する視線制御について-
Project/Area Number |
17500274
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松尾 聡 鳥取大学, 医学部, 講師 (40219390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 義光 鳥取大学, 医学部, 助手 (80108810)
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Keywords | 上丘 / ネコ / SACCADE / 頭部・眼球協調運動 / 脳幹 / 視線 |
Research Abstract |
GAZE SACCADE (GS)における上丘と脳幹核上性領域の役割を調べるために本研究を行った。無麻酔の覚醒動物(ネコ)を用い、暗所で水平方向のGSを行うように訓練した。さらに眼球運動の信号をトリガに用い、ランダムに頭部停止用クラッチを作動させ、頭部運動を短時間停止させた。この外乱時の神経活動を記録した。頭部を停止させると、やや遅れて眼球運動が停止し視線が静止した状態が生じた。クラッチを解放すると速やかに頭部は目標に向かい動き始めるが、眼球は反対方向に回旋し、結果として視線静止状態が続いた。その後、2度目のGSが生じ視線は目標を捉えた。本実験の外乱により、GSが2つに分けられ、視線静止状態はさらに頭部と眼球が同時に停止する期間、それぞれ反対方向に動く2つの期間に分離できることを示唆された。この外乱方法は頭部・眼球協調運動の解析に有用であると思われた。上丘尾側部GS関連ニューロン(SRN)の活動はGS開始時にピーク値をとり、外乱時の視線静止状態にも持続して活動していた。上丘吻側部固視ニューロン(SCFN)はGS終了時にピークに達し、ピーク付近(視線の到達点近く)で外乱を与えると、視線静止状態にも持続して活動していた。このニューロンは脳幹のオムニポーズニューロンの存在する領域や、さらに尾側に軸索を伸ばしている可能性が示唆された。SRNとSCFNの発火頻度は頭部や眼球運動速度とは関係なく、視線の軌跡と動物の注意の状態に関連して活動した。脳幹のバーストニューロンの活動は眼球運動速度にもっとも相関する傾向が認められた。脳幹のオムニポーズニューロンはSCFNより発火頻度が高く、外乱を与えるとSCFNより忠実に視線静止状態に活動をとめた。これらの結果は脳幹核上性領域のニューロンの活動には上丘の他に、付加的な入力が必要である事を示唆している。
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Research Products
(2 results)