Research Abstract |
平成17〜18年度の研究成果において、我々はヒトC反応性蛋白(hCRP)遺伝子導入ウサギ2系統のファウンダーを得ることに成功している(C205系統,C215系統)。平成19年度は,これらの遺伝子組換えウサギ系統のうち,C205系統を使用し,動脈硬化の実験を行った。すなわち,実験に必要な遺伝子組換えウサギ(F2)を得るため,まずは,大規模な繁殖を行った。次いで,実験に使用可能なF2ウサギが得られ次第,コレステロール添加飼料を与え動脈硬化の実験を開始した。実験開始後,経時的に採血を行い血中の脂質(総コレステロール,高比重リポ蛋白)の値を測定し,遺伝子組換えウサギと対照ウサギで総コレステロール値が同じとなるように飼料中のコレステロールの値を調整した(0.075〜0.3%)。実験開始後16週目に解剖して大動脈および心臓を摘出し,病理学的検討のための材料を採取した。 遺伝子組換えウサギC205系統のF2ウサギにおける血中のヒトCRP濃度は,5.41±2.38mg/dl(n=13)であり,ファウンダーならびにF1ウサギのそれと同等の値を示した。このことからウサギに導入されたヒトCRP遺伝子は,子孫に安定に伝達され発現していることが確認された。現在,コレステロール負荷は終了し,実験に使用した全てのウサギの解剖,材料採取を終え,投稿論文作成のため,画像解析装置を用いた動脈硬化病変の測定ならびに詳細な病理組織学的解析を実施中である。
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