2005 Fiscal Year Annual Research Report
力学的検討による心臓リモデリング機序と虚血耐性低下メカニズムの解明
Project/Area Number |
17500297
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内貴 猛 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40241385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 剛一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20125397)
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Keywords | バイオメカニクス / 心不全 / エナジェティクス / 心肥大 / 心筋細胞 / 発生張力 / 発生応力 / SHR |
Research Abstract |
心臓のリモデリングの発生とその後の虚血耐性低下にエネルギー代謝バランスの変化が関与しているのではないかと考え,本研究ではその変化を階層レベル毎に検討する第1段として,心臓から単離した心筋細胞を用い,細胞レベルにおいて検討した.肥大による心筋細胞の力学的特性変化を評価するために,本研究では高血圧自然発症ラット(SHR)の心筋細胞が発生する張力を測定し,通常血圧のラット(WKY)心筋細胞の発生張力と比較した.そのために,顕微鏡のステージ上で太さの異なる2つのカーボンファイバで細胞の両端を把持し,細い方のカーボンファイバの変位量を測定することにより,心筋細胞を電気刺激したときに発生する力を求めた.その結果,SHR心筋細胞の発生する張力はWKYラット心筋細胞と同程度であることがわかった.また,イソプロテレノール濃度と電気刺激頻度,細胞外カルシウムイオン濃度を変化し,心筋細胞の収縮性を変化させてもその傾向は変わらないことがわかった.以前の研究では,細胞に負荷を与えない状態においてはSHR心筋細胞の収縮性がWKYラット心筋細胞より大きいことがわかっているため,本研究の結果から,心筋細胞の肥大化により細胞骨格の硬さが減少している可能性があることがわかった.以前の研究からは,細胞肥大化により,より多くのエネルギーを消費するように変化していることが示唆されたが,本研究の結果,実際の心臓でどのようになっているのかについてはさらに詳細に検討する必要があることが示唆された.
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