2005 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波による微量活性酸素生成と化学発光測定による抗酸化活性計測法の開発
Project/Area Number |
17500307
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡部 弘高 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90221142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪本 修 九州大学, 大学院・システム生命科学府, 特任助教授 (50332250)
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Keywords | マイクロ波 / バイオフォトン / 非熱的効果 / アズキ / 極微弱生化学発光 / 生体 / 光電子増倍管 / 活性酸素 |
Research Abstract |
マイクロ波を照射しながら生体からの極微弱生化学発光(単一光子現象として観測されるほど微弱なのでバイオフォトンと呼ばれる)を測定するための装置を組み上げた。極微弱光を測定するための光電子増倍管は各種ノイズ減からの影響が予想され、予備的に行った実験では、マイクロ波強度を落としても光電子増倍管にマイクロ波が干渉することが分かった。そこで、マイクロ波を試料近傍に閉じこめつつ光を観測するためのアプリケータを製作した。そして、アプリケータを用いた場合には入力マイクロ波強度が200Wの場合でもアプリケータからのマイクロ波の漏れが0.01mW/cm^2以下となり、光電子増倍管のカウントへの影響は熱ノイズ以下でほぼ干渉しないレベルまで下がることを確認した。次に、我々の標準試料であるアズキの芽生えを用いた基礎実験を行った。アズキのフォトン放射強度はマイクロ波の照射開始と共に増加し始め、マイクロ波の照射を終了すると同時に減少を始めた。このことからマイクロ波の照射によってアズキから放出されるフォトンの強度が増加するということがわかった。この原因として考えられるのは、マイクロ波を照射したことによりアズキの温度が上昇し生体細胞の活性が上昇、そして呼吸の増加により生体内での活性酸素発生量が上昇し、発生した活性酸素が生体細胞を酸化することによってフォトン放射強度増加したということである。さらに、マイクロ波の強度を大きくしてゆくと、致死温度に達することによる急激なフォトンカウント数の増加が見られた。温度の上昇を抑えるようにより多くの水を入れた場合には、比較的低い温度からでもフォトンカウント数の増加が見られた。このことから、マイクロ波の効果が加熱だけではないという可能性が示唆された。今後はマイクロ波ヒートスポットや非熱的効果についての詳細な検討を進める必要がある。
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