2006 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波による微量活性酸素生成と化学発光測定による抗酸化活性計測法の開発
Project/Area Number |
17500307
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
岡部 弘高 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (90221142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪本 修 九州大学, 大学院システム生命科学府, 特任助教授 (50332250)
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Keywords | マイクロ波 / バイオフォトン / 非熱的効果 / アズキ / 極微弱生化学発光 / 生体 / 光電子増倍管 / 活性酸素 |
Research Abstract |
昨年度にマイクロ波の照射によって生体(アズキの芽生え)から放出されるフォトンの強度が増加するということがわかり、マイクロ波による抗酸化活性測定が可能であることが示されたが、マイクロ波には加熱効果の他に、非熱的効果が存在する可能性が示唆された。 そこで今年度は、加熱効果を分離するため、ヒーターによって温度変化を制御し、フォトン放射がどのように変わるかを調べた。その結果、加熱速度を変化させた実験では加熱速度が速いほど、フォトンカウントの増加速度、最大値が大きく、フォトン増加に関して次の3つの可能性が考えられた。第一に生体の活性化に伴い呼吸量が増加したこと。第二に温度上昇により傷害が生じたこと。第三に熱ショックタンパク質(HSP)が合成されたことである。いずれの場合にも生体内活性酸素やラジカル濃度が上昇し、フォトンが増加する原因となった可能性がある。またフォトンの増加に関しては昇温速度が速いほど同じ温度でもフォトンカウントが大きいので、時間の経過とともに温度適応し傷害の進行が止まった、HSPが蓄積されHSPの合成が停止した等が可能性として考えられた。そこで温度変化をステップ関数的にした結果、最初に曝す温度が高いほどその間のフォトンカウントが大きく、また更に温度を上昇させた時のフォトンカウントの最大値が小さくなる傾向が見られた。これは、より高い温度に慣らされた植物の獲得熱耐性が大きくなり、熱ショックによる活性酸素等の傷害が抑えられるということである。このことから、バイオフォトンの放出には抗酸化酵素の活性低下による活性酸素濃度の上昇などの熱による傷害が重要な要因であることを示しており、マイクロ波による抗酸化活性測定を行う場合には加熱効果を最大限考慮する必要があるという結論を得た。
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