Research Abstract |
近年、幹細胞から臓器を再生させる再生医療が注目されているが,特に,細胞の足場となるセルスキャホールドとしてのバイオマテリアルは,骨の再生に重要である.生分解性及び吸収性に優れている自然骨に類似した結晶性を有するハイドロキシアパタイト(HAP)へ転移して自己硬化する機能を有するアパタイトセメントを用いて人工骨を調製した.20mol%の亜鉛を含有するβ3リン酸カルシウム(ZnTCP)を調製した.粉末固体物性の指標として,粉末X線回折(既設)を用い結晶化度,赤外吸収スペクトル(FTIR)(既設)を用い分子間相互作用,熱分析(DSCあるいはDTA-TG)(既設)を用い熱挙動測定した.βZnTCP粉末に4リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム化合物にコラーゲンを種々の割合で配合し,粉砕機によりメカノケミカル処理を行い,ナノレベルのZnTCP粒子が高分子マトリックスに分散しマイクロメータレベルの無機・有機複合体粒子が生成した.この複合化骨セメントにビタミンK2を混合した後,リン酸溶液と錬合するし,ペーストとする.これを400ミクロンの細孔を80本もつ10X10X10mmの金型に流し込み37℃,100相対湿度に保存し硬化させる.この複合化骨セメントはハイドロキシアパタイトに転移することにより硬化することから,硬化後に粉末X線回折により結晶構造とその含有量を定量的に解析し,自然骨と類似の結晶性があることを確認した.これらの化学的な組成比から生体活性に与える化学成分量の影響を推定した.一方,骨は,その幾何学的構造が骨細胞の活性に影響を与えることが知られているので,細胞を担持するマクロポアとともにミクロポア構造が重要である.このミクロポアは,水銀ポロシメータにより測定し,総空隙率とともにフラクタル次元解析を行い,ミクロ・マクロ構造が生体親和性に与える影響を検討した.このアパタイトセメントの細胞培養の機能を評価するために播種する骨幹細胞の分化誘導の程度が骨生成機能に与える影響を検討した.第二リン酸カルシウム(DCPD)、リン酸四カルシウムの(TTCP)からなるアパタイトセメントをリン酸緩衝液で練合した.その後,37℃相対湿度100%で24時間放置し自己硬化させ,セメントを作成した.細胞はラット左右大腿骨から骨髄間葉系幹細胞を単離した後、約1週間初期培養させ、その後再びT-75フラスコに播き、1週間骨芽細胞へ分化誘導をかけながら培養し,細胞活性を評価した.
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